夏タイヤのスリップサインについて、以下のような疑問や不安を抱いていませんか?
● スリップサインが見えることによるデメリットは?
● スリップサインが見えても同じタイヤを使い続けていいの?
本記事では、夏タイヤのスリップサインの見方や、スリップサインが見えることによる車への影響などを解説します。
スリップサインの出現を遅らせるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- スリップサインとは?
- 夏タイヤのスリップサインの見方
- 夏タイヤのスリップサインが見えることによるデメリット
- 夏タイヤのスリップサインの出現を遅らせるコツ
- 夏タイヤのスリップサイン以外に判断できるタイヤ交換の基準
- 夏タイヤのスリップサインに関するよくある質問
- 夏タイヤのスリップサインを見逃さず安全に運転しよう
スリップサインとは?
スリップサインとは、タイヤにある溝の深さが1.6mmになると見える印のことです。スリップサインの場所は、上記写真のようにタイヤの側面にある三角マークの延長線上に出現します。
三角マークの延長線上にはタイヤの溝があり、その深さを見てタイヤの消耗具合を判断できます。スリップサインはタイヤの消耗が進むと出現するため、スリップサインが見える状態での走行は危険です。
スリップサインが出た状態で走行した場合、以下のように整備不良で罰則を受ける可能性があります。
● 9,000円の罰金
また、国土交通省が明示する保安基準の中にも、タイヤに関して以下の基準が設けられています。
滑り止めのために作られたタイヤの溝部分は、1.6mm以上の深さを有すること
参考:国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」
夏タイヤを履く際は、スリップサインが出ていないか定期的に確認しましょう。
夏タイヤのスリップサインの見方
夏タイヤのスリップサインの見方は、以下のとおりです。
- タイヤの側面にある三角マークを確認する
- 三角マークの延長線上にある縦溝を確認する
- 縦溝に橋がかかったような状態になっている(上記写真を参照)
先ほどの国土交通省が示した保安基準では、タイヤの溝が1.6mm以上の深さを有することとされていましたが、安全に走行できる深さは4mmまでです。
新品の夏タイヤは溝の深さが8mmのため、およそ半分以下の深さになるとタイヤの交換基準と言えます。
スリップサインの見方については、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
夏タイヤのスリップサインが見えることによるデメリット
夏タイヤのスリップサインが見えることによるデメリットは、以下の3つです。
● 交通違反になる可能性がある
● 車検に引っかかり走行不可になる
それぞれ詳しい内容を確認しましょう。
大きな事故につながる
スリップサインはその名の通り、見えている状態で走行するとスリップの原因になり大きな事故につながります。夏タイヤの溝がなくなると、濡れた路面を走行した際にタイヤのトレッドと道路の間にある水を排出できなくなるため、スリップしやすくなるからです。
とくに雨の日の高速道路では、夏タイヤのトレッドと道路の間に水の膜が発生し、車が宙に浮いたような状態になります。この状態で走行すると、うまくハンドルを操作できずブレーキがききにくくなり、ハイドロプレーニング現象(タイヤの水上滑走現象)の発生につながる恐れがあります。
交通違反になる可能性がある
スリップサインが見える状態で走行し続けると、整備不良と見なされ交通違反になるかもしれません。
万が一、整備不良であることが発覚すると、普通車と大型車ともに違反点数2点の加算対象になります。また普通車と大型車で、それぞれスリップサインに対する罰金が以下の金額に定められています。
車の種類 | 罰金の金額 |
---|---|
普通車 | 9,000円 |
大型車 | 12,000円 |
罰金はあくまでも運転者本人の問題ですが、スリップサインが見える状態での走行は大きな事故につながり、他人を巻き込むリスクがあることを頭に入れておきましょう。
車検に引っかかり走行不可になる
夏タイヤの溝の深さが1.6mm以下になり、スリップサインが見えると車検に引っかかり走行不可になる可能性があります。その場でタイヤ交換をしたのち、再度車検を受けるため、その分費用や時間の負担は増えます。
夏タイヤの平均寿命は5年ほど。そのため、新車購入後2回目もしくは3回目の車検を受ける際は、夏タイヤの溝の深さを確認しておきましょう。スリップサインが見えるなら、車検前にタイヤ交換が必要です。
車検に合格するためのタイヤの溝の深さについて知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
夏タイヤのスリップサインの出現を遅らせるコツ
夏タイヤのスリップサインの出現を遅らせるコツは、以下の5つが挙げられます。
- 急ハンドルや急ブレーキを避ける
- 定期的に空気圧を調整する
- タイヤのローテーションを行う
- 適切な方法でお手入れする
- 荷物をバランスよく積む
ちょっとした工夫でスリップサインの出現を遅らせられるため、ぜひ実践してみてください。
1.急ハンドルや急ブレーキを避ける
急ハンドルや急ブレーキなどの荒い運転は、夏タイヤの摩耗ペースを早めるため避けたほうがいいでしょう。
また、スピードを出しすぎると、夏タイヤの消耗に影響します。高スピードで走行するとブレーキをかける時間が増加し、夏タイヤへの負担が増えるからです。
運転する際は緩やかにハンドルを操作し、スピードの出しすぎやブレーキの踏みすぎなどに気をつけながら、夏タイヤに負担の少ない走行を心がけましょう。
2.定期的に空気圧を調整する
車の基本的な点検である空気圧の調整は、夏タイヤの消耗に大きな影響を与えます。
空気圧を安定させることで夏タイヤの性能を十分に発揮できるだけでなく、偏摩耗(タイヤの消耗する箇所が偏ること)を抑制できます。そのほかにも、夏タイヤの空気圧を安定させれば、走行抵抗が軽減し燃費の悪化防止にもなるでしょう。
夏タイヤの空気は自然に抜けていくため、車検とは別に1ヶ月に1回程度の定期的な点検をして、タイヤのコンディションを良好な状態にすることが大切です。
3.タイヤのローテーションを行う
タイヤの装着位置を入れ替える「タイヤローテーション」は、スリップサインの出現を遅らせる効果が期待できます。なぜなら、タイヤは装着位置によって摩耗に偏りが出るからです。
一般的に、前輪のほうが摩耗しやすく、タイヤ設置面のショルダー部分が減りやすい傾向にあります。後輪の場合、接地面のセンター部分が摩耗しやすくなります。
なおタイヤローテーションをする走行距離の目安は、5,000kmほど。摩耗具合の適切な判断や安全な作業のためにも、業者に依頼するのがおすすめです。
4.適切な方法でお手入れする
適切なお手入れや保管により夏タイヤの劣化を防ぎ、スリップサインの出現を遅らせる効果が期待できます。
主に、以下の点に注意してお手入れや保管をしましょう。
● ワックスを使用する場合は水性タイプを使う
● 可能なら雨が凌げる場所に駐車する
● タイヤのみ保管する場合はカバーを被せる
屋根がある場所に駐車できない場合は、車カバーやタイヤカバーを使用し、雨の侵入を防ぐのがおすすめです。
5.荷物をバランスよく積む
積載する荷物が多ければ、夏タイヤに負荷がかかります。夏タイヤの劣化が進むと、スリップサインの出現も早まります。そのため、不要な荷物は積みっぱなしにせず、車から降ろしましょう。
とくにトランクにある荷物で使ってない不要なものがあれば、降ろすか処分するか検討しましょう。
また荷物の積み方に偏りがあると、重い部分の夏タイヤのみが摩耗しやすくなり、スリップサインの出現にも偏りが生まれるため、荷物はバランスよく積むことが大切です。
夏タイヤのスリップサイン以外に判断できるタイヤ交換の基準
夏タイヤのスリップサイン以外のタイヤ交換の基準は、以下3つの要素から判断できます。
● 走行距離
● 劣化状態
それぞれどのような点を見ればいいか解説します。
使用年数
夏タイヤの寿命は、およそ5年といわれています。そのため、溝が残っておりスリップサインが見えていなくても、使用開始後5年以上経過した夏タイヤは交換を検討しましょう。
タイヤはゴム製品のため、使用せずとも時間が経つにつれて柔軟性がなくなり、ひび割れが発生する恐れがあります。
柔軟性がなくなると路面をつかみにくくなり、ブレーキやハンドルなどの操作に影響するかもしれません。ひび割れはパンクにつながる恐れもあるため、5年以上経過した場合は業者に点検してもらいましょう。
走行距離
一般的にタイヤのゴムは、5,000kmほど走行するとおよそ1mm摩耗します。夏タイヤの溝の深さは8mmなので、およそ40,000km走ると溝がなくなる計算です。
夏タイヤが安全に走行できる溝の深さは4mmまでといわれています。摩耗した状態で走り続けると、トレッド部分の水を正常に排出できなくなり、ブレーキやハンドルがきかなくなり滑るハイドロプレーニング現象の発生につながります。
参考:BRIDGESTONE「タイヤの寿命はどれぐらい?知っておきたい交換時期と見分け方」
以上のことから、夏タイヤは走行距離20,000kmを目安に交換しましょう。
劣化状態
夏タイヤの見た目から劣化状態を確認して、交換を判断することも可能です。たとえば、夏タイヤの表面がひび割れていたり、釘やガラスのかけらなどが刺さっていたりする場合、パンクの危険性もあるので交換したほうがいいでしょう。
またひび割れは夏タイヤが柔軟性を失ったサインでもあり、鋭利なものに触れると損傷するリスクが高まります。
外から見えない夏タイヤの内部が損傷する可能性もあるため、定期的にタイヤ点検をしてもらい、夏タイヤの内部状態も確認してもらいましょう。
夏タイヤのスリップサインに関するよくある質問
夏タイヤのスリップサインに関するよくある質問は、以下の3つです。
- 夏タイヤはスリップサインが出るギリギリまで使ってもいい?
- 走行可能なスリップサイン溝の深さは高速道路でも同じ?
- 夏タイヤが寿命を迎える溝の深さは何ミリ?
それぞれの質問に対し、わかりやすく回答します。
夏タイヤはスリップサインが出るギリギリまで使ってもいい?
スリップサインが出るまで夏タイヤを使うのは危険です。
夏タイヤは溝の深さが残り4mm以下になると、ハンドルやブレーキがききにくくなりタイヤが浮いたように滑る「ハイドロプレーニング現象」が起きやすくなります。
新しい夏タイヤの溝の深さは8mmですが、5,000km走行すると1mm摩耗するため、20,000km走ると溝の深さは残り4mmになります。
走行距離も考慮しながら、スリップサインが見えるギリギリまで使用するのは避けましょう。
走行可能なスリップサイン溝の深さは高速道路でも同じ?
走行可能なスリップサインの溝の深さは、一般道路と高速道路で以下のように異なります。
車の種類 | 走行可能な溝の深さ (一般道路) |
走行可能な溝の深さ (高速道路) |
---|---|---|
普通車・軽トラック | 1.6mm | 1.6mm |
小型トラック | 1.6mm | 2.4mm |
大型車 | 1.6mm | 3.2mm |
高速道路の場合、より早いスピードでのスリップのリスクが高まるため、走行可能な溝の深さが異なります。
ただし、走行可能な溝の深さは最低ラインであり、1.6mmギリギリまで走行し続けるのは危険です。先述のとおり、溝の深さが4mm以下になったらタイヤ交換を検討しましょう。
夏タイヤが寿命を迎える溝の深さは何ミリ?
夏タイヤが寿命を迎える溝の深さは、4mm程度といわれています。新しい夏タイヤの溝の深さは8mmなので、半分以下になると交換したほうがいいでしょう。
夏タイヤの溝の深さが1.6mm以下になると、スリップサインが出現します。スリップサインが出現した状態では、車検に合格できない可能性があります。
夏タイヤの寿命も考慮し、スリップサインが出現する前に交換できるよう、業者で定期的に点検してもらいましょう。
夏タイヤのスリップサインを見逃さず安全に運転しよう
夏タイヤはスリップサインが見えた時点で、かなり摩耗している状態です。夏タイヤの寿命は溝の深さが4mm以下といわれているため、スリップサインが出現する前に交換することが大切です。
本記事内でも紹介した「夏タイヤのスリップサインの出現を遅らせるコツ」を参考に、タイヤを長持ちさせましょう。
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