最終更新日 2024年8月2日
ホイールナットのサイズを知りたくても、「サイズの見方がわからない…」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
ホイールナットは車体とホイールを固定する重要な部品です。もし車に合わないホイールナットに交換してしまうと、脱輪や部品の故障につながる恐れがあります。
本記事では、ホイールナットのサイズの見方を解説します。サイズの見方がわかれば、交換するときに車に合うホイールナットを選べるでしょう。
メーカー別の適合表や、交換時の注意点もあわせて解説します。ホイールナットの交換を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
- ホイールナットサイズの見方
- メーカー別!ナットサイズ適合表
- ホイールナットの種類
- ┗テーパー座
- ┗球面座
- ┗平面座
- ホイールナットを交換するメリット
- ホイールナット交換時の注意点
- ┗純正ナットを保管しておく
- ┗ホイールやハブボルトに合うものを使う
- ┗OEM車は要確認
- ナットの形状が合わないと危険
- 自分でナットを交換するときの注意点
- ┗対角線上にナットを締める
- ┗必ず規定トルクを守る
- ナットが外れない(回らない)原因と対処法
- ┗ナットが外れない場合の対処法
- ┗ナットの錆をとる方法
- ホイールナットは合うものを選ぼう
ホイールナットサイズの見方
ホイールナットのサイズの見方を解説します。メーカーや車種、グレードによって表記は異なりますが、基本的な見方は同じです。
- ミリメートルねじの記号自分で
- ねじの直径(mm)
- ねじ山のピッチ
- ねじの山と山との距離(mm)
- 六角形の二面幅(mm)
- 六角形(HEXAGON)
ねじの直径とは、ホイールナットの穴側の直径のことを指します。ねじの山と山との距離は、穴の中に切ってある山の間隔です。
六角形の二面幅は、外側のナットの大きさです。ホイールナットのサイズは、上記の6つで表されます。
ホイールナットとボルトの名称は、以下のようになります。
メーカー別!ナットサイズ適合表
メーカー別にホイールナットの適応サイズを表にまとめました。
ねじのサイズ | メーカー |
---|---|
M10×P1.25 | 軽自動車・スズキ・ダイハツ・スバル・マツダ(旧車) |
M10×P1.5 | 軽自動車・ホンダ・三菱(旧車) |
M12×P1.25 | 日産・スバル・スズキ |
M12×P1.5 | トヨタ・ホンダ・三菱・マツダ・ダイハツ |
M14×P1.5 | ランドクルーザー・レクサス・ホンダ レジェンド・シビック タイプR・日産GT-R NISMO・グランエース・センチュリー (一部例外あり) |
メーカーが同じでも、車種やグレード、年式によってホイールナットのサイズが異なる場合があります。とくに「M14×P1.5」サイズは例外も多く、注意が必要です。
OEM車についても同様で、ホイールナットのサイズが、違うメーカーのものになっている可能性もあります。上記の表を参考に、必ず現車で確認してください。
ホイールナットの種類
ホイールナットの形状には、さまざまな種類があります。ホイールメーカーや自動車メーカーによって使用している形状は異なり、ナットを取り付けるホイール側の座面の形もそれぞれです。
ホイールナットはサイズだけでなく、ナットの形状とホイール側の取り付け座面の形状が一致する必要があります。
ホイールナットの種類を間違えないように、しっかりと理解しておきましょう。
● 球面座
● 平面座
順番に解説します。
テーパー座
テーパー座は、多くのホイールメーカーや自動車メーカーで使用されている形状です。社外ホイールの大半はテーパー座といわれており、幅広い対応が期待できます。
テーパー座のナットは、先端に向かって細くなっています。この角度は60°で統一されており、ホイール側の座面の角度も同じです。コストも安く、汎用性が高いのが特徴です。
球面座
球面座は、ホンダ車の純正部品として使われるケースが多い形状です。ナットの先端が丸くなっており、摩擦力が生まれやすいため緩みにくいのが特徴です。
多少精度の悪いナットでも、テーパー座より高い締め付け力が期待できます。テーパー座と形状が似ており、間違えやすいため注意が必要です。
平面座
平面座は、トヨタ車やレクサスの純正部品として使われるケースが多い形状です。ナットにワッシャーが取り付けられているため、面と面でしっかり密着できます。
そのため、テーパー座や球面座よりも安定してホイールを固定できるのがメリットです。コストは高くなりますが、強い締め付け力が期待できるでしょう。
ホイールナットを交換するメリット
ホイールナットを交換するメリットを解説します。
● ロックナットの使用で盗難防止になる
ホイールナットは、ホイールを車体に取り付けるだけの部品ではなく、交換することでさまざまなメリットが得られます。足回りのおしゃれを楽しむのはもちろん、安全面での活躍も期待できますよ。
1つずつ解説します。
ドレスアップができる
ホイールナットを交換すると、足回りを華やかに演出できます。素材を変更したり、デザインにこだわったものを使用したりすれば、ひと味ちがうカスタマイズを楽しめます。
赤や黄色など、色つきのホイールナットに交換するだけでガラッと見た目が変わるのも魅力です。
車の足回りを自分好みにドレスアップできますよ。
ロックナットの使用で盗難防止になる
ロックナットを使用することで、大切なホイールを盗難から守れます。>ロックナットは一般的なホイールナットとは異なる形をしているため、特定の工具を使用しないと外れない仕組みになっています。
ロックナットごとに専用工具が設けられており、持ち主にしか取り外しができません。
盗難のリスクを減らし、安全面を強化できます。
ロックナットはホイール1本につき1個の装着が主流です。
ホイールナット交換時の注意点
ホイールナットを交換するときの注意点を解説します。
- 純正ナットを保管しておく
- ホイールやハブボルトに合うものを使う
- OEM車は要確認
サイズや形状の確認も大事ですが、ほかにも気をつけるべきポイントがあります。ホイール周辺は走行に直結する重要な部分なので、見落とさないようにしましょう。それぞれ解説します。
1. 純正ナットを保管しておく
ホイールナットを交換したあと、純正ナットは捨てずに保管しておきましょう。「必要ない」と思っていても、緊急で使用する場合もあります。
純正品に戻したいときに、ホイールナットがなければ使用できない、というケースも考えられます。とくに、トヨタ車は要注意です。
トヨタ車の純正ホイールナットは平面座を採用している車種も多く、あとから購入すると高額になる可能性があります。
車のトランクや、頻繁に使用しない収納などに保管し、なくさないようにしましょう。
2. ホイールやハブボルトに合うものを使う
ホイールナットは、ホイールやハブボルトに合うものを使用しましょう。
ホイールナットにはサイズや形状だけでなく、以下のようなちがいもあります。
● ショート or ロング
● ホイールボルト
貫通式のホイールナットは、装着したときにハブボルトが見える形をしています。全体の高さを抑えられるので、ホイールキャップを装着する場合にオススメです。
袋式はその名の通りナットが袋のような形をしているため、ハブボルトを隠せて足回りをスッキリ見せる効果があります。
ショートとロングは、ホイールナットの長さのちがいです。ホイールナットが長いと、脱着作業がしやすいなどのメリットがありますが、あまりに長すぎると車体からはみ出す恐れがあります。
車体からホイールナットがはみ出せば、車検には通りません。接触事故などの危険性もあります。車体の内側に収まる長さを選びましょう。
ホイールボルトは、輸入車に多く見られる形状です。車体側にねじが切ってあり、ナットではなくボルトで固定するタイプです。
それぞれの車やホイールに合った種類のホイールナットを選んでください。
3. OEM車は要確認
OEM車の場合、メーカー別でホイールナットを選ぶと合わない可能性があります。
OEM車とは、他社で製造した車を自社の商品として販売している車です。たとえば、スズキのスペーシアはマツダのフレアワゴンとして販売されています。同じような形なのに、メーカーのマークがちがう車を見かけたことがあるのではないでしょうか。
OEM車は、販売されているメーカーではなく、製造したメーカーの仕様になっているケースがあります。
車のメーカー名だけでホイールナットを選んでしまうと、サイズや形状が異なる場合も考えられます。
必ず製造されたメーカーの情報や、現車での確認を行いましょう。
また三菱の軽自動車は、車体側のハブボルトという部分が長く、一般的なテーパー座ナットよりも長めに作られています。ショートナットを使用すると底づきするため、デイズ・ekワゴン等にお乗りの方はご注意ください。
知らずに装着すると最後までしっかり止めることができないので緩んでくる可能性がありますので気をつけて下さいね。
ナットの形状が合わないと危険
形状の合わないホイールナットを使用するのは非常に危険です。ナットのサイズとピッチ(ねじ山の間隔)が合っていれば大丈夫と思われがちですが、実際はちがいます。
ホイールナットと取り付け座面の形状が合わないと、ナットが緩んで走行中にホイールが外れる恐れがあります。本来ならしっかりと密着して固定されるはずのホイールとナットですが、ちがう形状だと接地面が一致しません。
そのため、走行中にかかる負荷や振動でホイールナットが緩み、脱輪する可能性があります。
たとえば、ペットボトルを種類のちがうふたで閉めようとしても、最後まできちんと閉まらなかった経験はありませんか?
サイズは同じに見えても、形状が異なるとしっかり固定はできません。間違えやすいのは、テーパー座と球面座です。必ず形状の合うものを使用するようにしましょう。
また、ナットのピッチサイズが合っていないとハブボルトが傷つき、最悪の場合折れてしまうこともあります。
走行中の足回りのトラブルは大事故につながるケースもあります。安全に走行するためにも、車やホイールに合ったナットを装着するようにしてください。
自分でナットを交換するときの注意点
ホイールナットを交換するときの注意点を解説します。
- 対角線上にナットを締める
- 必ず規定トルクを守る
ホイールナットは、取り外して装着すればいいだけではありません。走行中に負荷がかかる部分だからこそ、注意点をよく理解して確実に取り付けを行いましょう。
1つずつ解説します。
1. 対角線上にナットを締める
ホイールナットは、必ず対角線上に締め付けるようにしてください。間違った順番で締めてしまうと、ナットを締め付ける力が偏ってしまい、ゆがみが生じてしまいます。
すべてのナットがしっかり締まらず固定できなかったり、たとえ締まったように見えても精度が悪くすぐに緩んでしまったりします。ホイールを取り付けたら、位置がズレないように足で抑え、まずは工具を使わずに指で仮付けしてください。
次に、工具を使って対角線上に締めていきます。4穴なら順番に、5穴、6穴なら星マークを描くように締めていくとわかりやすいでしょう。
4穴の場合
5穴の場合
6穴の場合
ホイールを取り付けるときに、1本だけ最後まで締めきってしまうのは避けたほうがいいです。反対側の取り付け面が浮き上がり、無理やり力を加えてナットを締めると、ハブボルトに負担がかかります。まんべんなく力がかからないと、ホイールナットが緩む原因にもなります。
しっかりと固定するためにも、必ず順番は守ってください。
2 .必ず規定トルクを守る
ホイールナットを取り付けるときは、規定トルクでの締め付けが必須です。決められた力で締められていないと、ナットが緩み走行中に外れる可能性があります。
たとえば、日産ノートの締め付けトルクは以下の通りです。
上記の取扱説明書のように、ホイールナットの締め付けトルクは「108N・m」を指定しています。このように、指定された締め付けトルク以外の強さで締め付けをしても、ネジは緩んでしまいます。
また、締めすぎもいけません。ハブボルトやホイールナットの破損、ホイールの変形など、あらゆるトラブルの原因になります。必ずトルクレンチを使用し、決められた力で締め付けるようにしましょう。
タイヤ交換時はトルクレンチを使用しよう
トルクレンチとは、ボルトやネジ、ナットなど決まったトルク(締め付け力)で締めるための工具です。
ホイールナットを工具で締め付けたあと、ジャッキからおろした状態で使用します。走行中に不具合を起こさないためにも、規定トルクを守って取り付けを行ってください。
ナットが外れない(回らない)原因と対処法
ナットが回らない原因は、主に以下の3つが考えられます。
- 錆による固着
- ゴミの噛み込み
- ピッチが合っていないナット使用
車とホイールは、車側からでているボルトとホイールを止めているネジ(ナット)とで固定されています。どちらも金属なので、融雪剤による錆や経年劣化による錆により固着してしまっている場合があります。
ネジ山のピッチが合っていないネジやボルト・ナットが使われてしまい、雄ネジ・雌ネジのネジ山同士が噛み合わない状態になっている、というのが3番目のパターンです。
ネジを外せたとしても、ネジ山を修正しなければいけないので、結果的には、ボルトもナットも部品交換が必要になります。
ナットが外れない場合の対処法
ナットが外れない場合は、まずはWD-40やPBブラスターなどのオイルを使用してみてください。オイルをナットとボルトの間にしみ込ませ、数時間待ってから、ナットをゆっくりと緩めてみましょう。
それでも外れない場合は、ペンチやレンチを使ってみる、ナットの頭を叩いて緩めるというような方法もあります。
最終手段としては、ナットツイスターを使用する方法もあります。ナットツイスターとは、損傷したボルトを取り外すための工具です。
ボルトを損傷するため、最後の手段として使用されます。ナットツイスターを使用したボルトは再利用できません。
ナットの錆をとる方法
ナットの錆の主な原因は、酸素と水分が含まれた空気が、ホイールナットの金属部分に触れることで引き起こされる化学反応です。
ホイールナットの錆が広がると、ホイールだけでなくタイヤ全体の機能にも影響を及ぼします。そのため、ナットの錆に気づいたらすぐに取り除くことが大切です。ナットの錆をとる方法は以下の5つです。
- ワイヤーブラシを使う
- 錆取り剤を使う
- 重曹を使う
- クエン酸を使う
- 専門業者に依頼する
自宅で簡単にできる方法もあるため、ぜひ試してみてください。詳しい方法は以下の記事も参考にしてみてください。
ホイールナットは合うものを選ぼう
ホイールナットを交換すると、ドレスアップや盗難防止効果が期待できます。自分好みの足回りを演出しながら、大切なホイールを守れるメリットがあります。
サイズや形状はメーカーや車種によって異なるので、必ず自分の車に合ったものを取り付けるようにしましょう。
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