最終更新日 2024年12月10日
「スタッドレスタイヤの空気圧はどれくらいがいいの?」「高めがいいっていうけど、本当?」「スタッドレスではインチダウンしたんだけど、空気圧はどうすればいいの?」
今回は、このようなスタッドレスタイヤに関する空気圧についての疑問について、ご説明していきたいと思います。
- スタッドレスタイヤの空気圧を調整する理由とは?
- ┗普通タイヤとスタッドレスタイヤの違い
- ┗豪雪地帯では空気圧調整が有効な場合も
- スタッドレスタイヤの適正な空気圧はどれくらい?
- 空気圧が高すぎる・低すぎるとどうなる?
- ┗空気圧が低すぎると起こること
- ┗空気圧が高すぎると起こること
- 雪道・凍結道路での空気圧について
- ┗雪道での適正空気圧
- ┗アイスバーンでの適正空気圧
- ┗結論:適正空気圧の維持が最適
- スタッドレスタイヤの空気圧調整時の注意点
- ┗適正空気圧の確認
- ┗冬季の気温変化への対応
- ┗空気圧調整のタイミング
- ┗定期的な点検
- ┗タイヤサイズ変更時の対応
- インチダウン時の空気圧はどうすればよい?
- シーズンオフ・外したタイヤの保管方法
- まとめ
スタッドレスタイヤの空気圧を調整する理由とは?
タイヤの空気圧とは、タイヤ内部に充填された空気の圧力を指し、その適正値が守られているかどうかは、タイヤの性能や安全性、さらには車の燃費にも大きな影響を与えます。適正空気圧を維持することは、特にスタッドレスタイヤを使用する冬場において重要なポイントの一つです。
普通タイヤとスタッドレスタイヤの違い
通常、普通タイヤ(ノーマルタイヤ)は、メーカーが指定した適正空気圧で使用されます。しかし、スタッドレスタイヤはその性能やゴムの特性がノーマルタイヤとは異なるため、「同じ空気圧で大丈夫なのか?」と疑問を抱く方も多いでしょう。
結論として、スタッドレスタイヤだからといって、特別に空気圧を高めたり低めたりする必要はありません。
高め・低めの設定にはそれぞれメリットがあるものの、雪が時々降る程度の地域や凍結路面とドライ路面が混在する環境では、通常の適正空気圧で十分対応可能です。その理由は、適正空気圧が最もバランスよくタイヤ性能を発揮できるよう設計されているからです。
豪雪地帯では空気圧調整が有効な場合も
ただし、常に雪上や氷上を走行する豪雪地帯や、冬季の気温低下が大きい地域にお住まいの場合には、環境に応じた空気圧調整が効果的な場合があります。これから説明するポイントを考慮し、ご自身のカーライフに合った空気圧に調整してみることをおすすめします。
スタッドレスタイヤの適正な空気圧はどれくらい?
スタッドレスタイヤの適正な空気圧は、基本的に車両メーカーが指定する標準タイヤの空気圧と同じです。この情報は、車両の取扱説明書や運転席ドアの内側に貼られたラベルで確認できます。
ただし、冬季の低温環境では、気温の低下によりタイヤ内の空気圧が自然に低下する傾向があります。そのため、メーカー指定の空気圧に対して0~+20kPaの範囲で高めに調整することが推奨されています。
「スタッドレスタイヤだから空気圧を高めにする」のではなく、「気温低下により空気圧が自然に抜けていくので、寒い地域では高めに設定した方がよい」ということなのです。


空気圧が高すぎる・低すぎるとどうなる?
タイヤの空気圧が適正でない場合、低すぎても高すぎても、さまざまな問題が発生する可能性があります。それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
空気圧が低すぎると起こること
空気圧が低すぎると、以下のようなアクシデントが発生するリスクがあります。
● トレッド面の両肩部の異常磨耗
● バーストやハイドロプレーニングの危険性
空気圧が低すぎると、トレッド面のはく離やコード切れタイヤ内部の構造が損傷しやすくなり、走行中に重大なトラブルを引き起こす可能性があります。また、 タイヤの接地面が不均一になるため、両肩部分が過度に摩耗し、寿命が短くなります。
さらに、空気圧不足により、タイヤが路面の水をうまく排水できず、コントロールを失う危険性が高まります。

空気圧が高すぎると起こること
反対に、空気圧が高すぎる場合も問題が発生する可能性があります。
● タイヤの中央部の異常磨耗
● バーストやハイドロプレーニングの危険性
空気圧が高すぎると、タイヤが硬くなるため、路面からの衝撃や異物による損傷を受けやすくなります。
また、接地面が中央部分に集中するため、中央部分が早く摩耗し、均等な性能を発揮できなくなります。高すぎる空気圧でも、適正な排水性能を発揮できず、滑りやすくなります。
タイヤの空気圧は、低すぎても高すぎても、重大事故を引き起こす恐れがあります。そのため、常に適正値の空気圧を維持することが非常に重要です。定期的に空気圧をチェックし、メーカー推奨の基準を守るよう心がけましょう。
雪道・凍結道路での空気圧について
スタッドレスタイヤは、雪上ではトレッドパターンが大きな役割を果たし、アイスバーンではゴム(コンパウンド)が性能を大きく左右します。
タイヤのトレッドとは、タイヤの構造のうち、地面と接触する部分のことです。一方のゴム(コンパウンド)は混合物、複合物の意味で、タイヤで使用される複合ゴムのことを指します。
項目 | 説明 |
---|---|
トレッドパターン | タイヤの地面と接触する部分で、雪上でのグリップ力を左右します。 |
ゴムコンパウンド | 複数の素材を組み合わせたゴムで、氷上での柔軟性とグリップ力に影響します。 |

雪道での適正空気圧
圧雪された路面では、トレッドブロックが雪を踏む力がポイントとなります。
この観点から言うと、タイヤ幅が細い(=空気圧は高め)の方が、接地面圧が高くなるので有利になるということです。
しかし、柔らかい雪の中で埋もれてしまった場合はタイヤの設置面を増やした(=空気圧は低め)の方が脱出しやすいです。
新雪の上をどうしても走行しなければならない場合は、空気圧を下げることを検討してもいいでしょう。
路面状況 | 空気圧設定の考え方 |
---|---|
圧雪路面 | トレッドブロックが雪を踏みしめる力が重要です。このため、タイヤ幅が細く(=空気圧が高め)設定すると接地面圧が高まり、グリップ力が向上します。 |
新雪や深雪 | 柔らかい雪に埋もれた場合、接地面積を増やす(=空気圧を低めに設定)ことで、脱出しやすくなります。新雪を走行する際は、空気圧を下げることを検討してください。 |
アイスバーンでの適正空気圧
凍結した路面では、ゴムコンパウンドの柔軟性が鍵となります。
接地面積を広く取るために、タイヤ幅を太く(=空気圧を低めに設定)すると有利です。一部では、接地面圧を増やす(=空気圧を高めに設定)と滑りにくくなるとの説もありますが、タイヤメーカーからの公式な推奨は確認されていません。
結論:適正空気圧の維持が最適
スタッドレスタイヤは、雪道と氷上という相反する条件下で性能を発揮するよう設計されています。
空気圧が適正値から外れると、このバランスが崩れ、タイヤ本来の性能を十分に発揮できなくなる可能性があります。特に、除雪されたドライ路面や高速道路を走行する機会が多い場合、適正空気圧を維持することが安全で効果的です。
高めでも低めでもメリット・デメリットがあるので、スタッドレスタイヤの空気圧も、車両ごとに決まっている適正空気圧で設定するのがおすすめです。
これにより、さまざまな路面状況で安定した性能を確保できます。
スタッドレスタイヤの空気圧調整時の注意点
スタッドレスタイヤの空気圧を適切に調整することは、冬季の安全な走行において非常に重要です。以下に、調整時の注意点をまとめました。
- 適正空気圧の確認
- 冬季の気温変化への対応
- 空気圧調整のタイミング
- 定期的な点検
- タイヤサイズ変更時の対応
1. 適正空気圧の確認
車両メーカーが指定する適正空気圧は、車種やタイヤサイズによって異なります。この情報は、車両の取扱説明書や運転席ドア付近のラベルで確認できます。スタッドレスタイヤ装着時も、基本的にはこの指定値を基準とします。
適正空気圧は、下の写真のように運転席側ドア部分に記載されていることが多いです
写真の場合は、前輪は240kpa(キロパスカル)=2.4キロ、後輪は220kpa=2.2キロ、ということです。
安全面から見て、空気圧調整の調整幅は±0.2キロ程度、多くても上限は10%程度に留めましょう。
2. 冬季の気温変化への対応
前述しましたが、寒冷地では、気温の低下によりタイヤ内の空気圧が自然に低下する傾向があります。
そのため、メーカー指定の空気圧に対して0.1~0.2気圧(kPa)高めに設定することもおすすめです。これにより、低温下でも適正な空気圧を維持できます。
3. 空気圧調整のタイミング
空気圧は、タイヤが冷えている状態で測定・調整することが重要です。走行直後や直射日光下では、タイヤ内の空気が膨張し、正確な測定が難しくなります。
そのため、走行前や日陰での測定を心がけましょう。
4. 定期的な点検
タイヤの空気圧は、自然に減少する傾向があります。
最低でも月に一度は空気圧をチェックし、適正値を維持するよう努めましょう。特に長距離走行前や気温変化が大きい時期には、点検することが望ましいです。
しかしながら、なかなか実施は難しいと思いますので、ガソリン入れるときやカー用品に行く際に、習慣付けるのがおすすめです。
もしくは、窒素ガスを充填することも1つの対策となります。窒素ガスは空気よりも抜けにくいため1度か2度、空気圧チェックを忘れてしまっても多少の安心感があります。
ちなみにタイヤワールド館ベストでは、新しく窒素ガスを入れる場合は¥2,200円、補充の場合は¥550円で行っています。
とはいえ、1ヶ月に1度以上確認したほうが良いのは間違いないので、しっかり確認をするようにしましょう。

5. タイヤサイズ変更時の対応
タイヤのサイズを変更した場合(インチダウンやインチアップ)、適正空気圧も変わる可能性があります。
不安な方は、タイヤメーカーや販売店に相談し、適切な空気圧を確認・設定することが重要です。
とくにスタッドレスタイヤの場合はインチダウンをする方が多いので、次の章で詳しくご説明します。
インチダウン時の空気圧はどうすればよい?
スタッドレスタイヤは、サマータイヤよりも装着期間が短いこともあり、インチダウンという選択をしやすいタイヤです。
インチダウンとは、タイヤの外径(外側の大きさ)を変えず、ホイールサイズを一回り小さくすることを指します。(インチとはタイヤのリム径のことです。)普通タイヤ(ノーマルタイヤ)でドレスアップのために行われる「インチアップ」と反対のことですね。
インチダウン時の空気圧の調べ方
タイヤのサイズを変更した際の空気圧の調べ方は次の通りです。
②こちらの対応表から、その負荷能力を調べる。
③インチダウン後のタイヤの負荷能力が基準を満たしていることを確認する。
④インチダウン後の新しいタイヤの適正空気圧を確認する。
複雑でよくわからない‥と感じた方もご安心を。
ブリヂストンのページに、タイヤサイズ変更時の推奨空気圧検索システムがありました。こちらで簡単に調べることもできますので、ご覧になってみてください。

シーズンオフ・外したタイヤの保管方法
シーズンオフの使用しないタイヤを保管する際は、以下のポイントに注意することで、タイヤの劣化を防ぎ、次のシーズンでも良好な状態で使用できます。
- 空気圧を調整する
- 洗浄と乾燥をする
- 最適な保環境で保管する
- タイヤ預かりサービスの利用


1.空気圧を調整する
ホイール付きのタイヤを保管する際は、指定空気圧の半分程度まで空気を抜いておきましょう。これは、走行時に適正とされている空気圧のまま保管すると、内圧でゴムに負担がかかる可能性があるからです。
2.洗浄と乾燥をする
シーズンオフのタイヤは、保管前にタイヤを水洗いし、しっかり乾燥させることで、汚れや湿気による劣化を防げます。
タイミング | ポイント |
---|---|
洗浄時 | 中性洗剤を使用し、専用のブラシやスポンジでトレッド面やサイドウォールを丁寧に洗いましょう。特にトレッドの溝に詰まった小石や異物は、走行中の異音や後続車への飛散の原因となるため、しっかりと取り除きます。 |
洗浄後は | 十分にすすぎ、清潔なクロスで水分を拭き取ります。乾燥は、直射日光を避け、風通しの良い日陰で行いましょう。 |
とくに湿気が残った状態で保管すると、カビの発生やゴムの劣化を招く可能性があるので注意が必要です。


3.最適な保環境で保管する
タイヤの劣化を早める主な原因は、汚れ・紫外線・雨風・湿度・温度の5つです。これらを考慮すると、保管場所は直射日光の当たらない風通しの良い冷暗所が最適です。
さらに、タイヤ専用のラックを購入して保管するとなお良しです。


4.タイヤ預かりサービスの利用
保管スペースが確保できない場合や管理が難しい場合は、各社が提供するタイヤ預かりサービスを利用するのも一つの手です。
タイヤワールド館ベストの場合、バランス調整・空気圧調整・残溝チェック&ホイール安全点検も料金に含まれていますのでお得です。

まとめ
今回はスタッドレスタイヤにまつわる空気圧についてご説明してみました。
スタッドレスタイヤの空気圧は、基本的に車両メーカーが指定する適正値に設定することがおすすめです。適正値から外れると、タイヤの異常摩耗やバーストのリスクが高まります。
とくに豪雪地帯での特別な状況を除き、適正空気圧を維持することが安全で効果的です。
空気圧はおろそかにされがちですが、タイヤの性能を引き出し、安全なカーライフにとってとても重要です。
思わぬ事故につながることもありますので、ぜひご自身に合った空気圧で冬のドライブも楽しんでくださいね。




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