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    【保存版】ホイールナットは車種で形状・角度が違う|テーパー座が一般的な理由とは?

    最終更新日 2024年4月20日

    ホイールと車体をつなぐホイールナットに種類があるのを知っていますか?3種類あるホイールナットでも、テーパー座ナットが多く使用されています。

    「なぜテーパー座ナットが一般的なの?」と思いますよね。そこで当記事では、テーパー座ナットが多く利用されている理由や、ホイールナットの種類について解説します。

    テーパー座はナットを締めるときにずれにくく、3種類のナットの中ではもっともコンパクトで汎用性が高いため、多く利用されています。

    ホイール・車種ごとに適したナットを利用し、安全なドライブを楽しみましょう。

    テーパー座ナットはホイールがずれにくい

    テーパー座ナットはホイールがずれにくい

    テーパー座ナットは、先端が円錐のような形をしているため、ナットを締めたときにずれにくくなるのが特徴です。テーパー座ナットは角度があることでホイールと面接触でき、締め付ける力を均等に分散できるため、緩みにくい構造だといえます。

    また、テーパー座ナットとホイールの角度は60°で統一され、ナットを締め付けるだけで自然と中心で固定できるようになっています。ホイールを車体に取り付けるとき、ボルトがホイールの中心にくるように調整する作業は必要なく、テーパー座ナットが位置を調整してくれるからです。

    テーパー座ナットが多く使用されている理由は、以下の通りです。

    ● ホイールと面接触できるため、ナットが緩みにくい
    ● ボルトをホイールの中心に合わせる必要がない
    ● 他のナットに比べて、コストが安い

    なお、社外ホイールでもほとんどがテーパー座ナットに対応しており、汎用性の高さがわかります。

    社外ホイールに変えるときはテーパー座に変更がおすすめ

    ホイールを社外品に変更する場合は、テーパー座ナットに変更しておくのがおすすめです。社外ホイールはほとんどがテーパー座ナット対応なので、ナットの形状にこだわっていると選択肢が狭まってしまいます。

    たとえば、交換したナットが球面座で、装着したいホイールがテーパー座対応だった場合、ナットを交換するかホイールを諦めるしかありません。一度、テーパー座ナットに変更しておけば、ナットの形状に悩まされずに済むでしょう。

    ホイールナットには3種類ある

    ホイールナットには3種類ある

    ホイールナットは3種類の形状があります。

    1. テーパー座
    2. 球面座
    3. 平面座

    車のメーカーや車種によって採用しているナットが異なるため、ホイール交換前には所有する車のナットを確認しておきましょう。

    1.テーパー座

    テーパー座

    ほとんどの社外ホイールや車がテーパー座を採用しており、一般的に多く利用されているナットです。先端に角度がついているためナットを締めるときにずれにくく、ボルトをホイールの中心で締め付けられます。

    テーパー座は汎用性が高く、ナットのデザインも豊富なため、車のカスタムをされる方はテーパー座に交換しておくのがおすすめです。

    2.球面座

    球面座

    球面座ナットはホンダ車に多く使用されています。球面座ナットは商品の精度が多少悪くても、線接触できるメリットがあります。そのため精度が悪いナットの場合、テーパー座より球面座のほうが固定力が強いといえるでしょう。

    ただ、球面座は製造コストがかかるため、他メーカーはテーパー座を採用しています。日本車以外だと、ベンツやポルシェも球面座です。

    3.平面座

    平面座

    平面座ナットは、主にトヨタ・レクサスで使用されています。平面座はテーパー座・球面座と違い、面でホイールのセンターを出す構造です。そのため、他のナットより接触面積を稼げるため、安定してホイールを固定できます。

    ただ、球面座と同じく製造コストがかかるため、他メーカーでは取り入れられていません。テーパー座ナットでも固定力に問題はないので、わざわざコストが高い平面座にする必要がないといえます。

    【メーカー別】ホイールナットのサイズ一覧

    【メーカー別】ホイールナットのサイズ一覧

    「ホイールナットに種類があるのはわかったけど、所有するメーカーのナットサイズが知りたい」「どこのメーカーが何のナットを使っているの?」

    上記のように思っている方のために、メーカー別のナット形状を表にまとめてみました。

    メーカー ナット形状 ナットサイズ ソケットサイズ
    トヨタ テーパー座・平面座 M12×P1.5 21
    ホンダ テーパー座・球面座 M12×P1.5(軽自動車はM10) 19
    日産 テーパー座 M12×P1.25 21
    ダイハツ テーパー座 M12×P1.5(軽自動車はM10×P1.25) 21
    スズキ テーパー座 M12×P1.25(軽自動車はM10×P1.25) 19
    マツダ テーパー座 M12×P1.5(軽自動車はM10×P1.25) 21
    スバル テーパー座 M12×P1.25(軽自動車はM10×P1.25) 19
    三菱 テーパー座 M12×P1.5(軽自動車はM10) 21

    表を見るとトヨタ・ホンダ以外はテーパー座を採用しており、汎用性の高さがわかります。社外ホイールも9割ほどがテーパー座対応なので、ホイールを変更される方はテーパー座に変更しておくのがおすすめです。

    ホイールナットの天井部分にも種類がある

    ホイールナットには、ホイールと接地する側の反対側にも種類があります。

    ● 袋ナット
    ● 貫通ナット

    袋ナットは装着しているときにナットが見えないような形状をしています。ボルトが見えずスッキリしているため、ホイールのセンターキャップがない車におすすめです。

    一方で貫通ナットは、装着しているときにボルトが見えるように天井部が貫通しています。ボルトが見えてしまうため見た目はよくありませんが、天井がない分ナット全体の高さがないメリットがあります。そのため、センターキャップがあるホイールを装着する際は、貫通ナットがおすすめです。

    ナットの天井部分の形状は、ホイールのセンターキャップの有無で決めましょう。

    ホイールナットを選ぶ際のポイント

    ホイールナットを選ぶ際のポイント

    ホイールナットを選ぶ際のポイントは以下の通りです。

    1. ホイールナットは1台あたり16〜24本必要
    2. 車種にあった適切なサイズを選ぶ
    3. 素材を変えればドレスアップもできる
    4. ロックナットで盗難防止

    ホイールナットはホイールを固定するだけでなく、ドレスアップや盗難防止の効果も得られます。せっかく交換するなら自分の希望にあったホイールナットを選びましょう。

    1.ホイールナットは1台あたり16〜24本必要

    ホイールナットの数は車種によって異なります。ホイール1輪を固定するボルトの数が4本〜6本と、車種ごとに違うためです。

    ホイールナットの数は、以下のように車の種類によって異なります。

    ● 軽自動車・コンパクトカー:4個
    ● 普通車:5個
    ● バンやクロカンSUV:6個

    例外もあるので、ナットを購入する前に所有する車には何個必要か確認してから購入しましょう。必要個数は、実際に装着している車のホイールナットを数えると確実です。

    2.車種にあった適切なサイズを選ぶ

    ナットは座面の種類だけでなく、ネジのピッチサイズも考慮する必要があります。ナットの座面が適合していても、ネジのピッチが合わないと取り付けできません。ピッチとは、ネジ部のギザギザの頂点同士を結んだ距離のことです。

    ピッチが合わないナットを気づかずに装着してしまうと、ボルトが損傷します。そのまま装着していると、走行の振動でナットが外れてしまう可能性があります。

    ホイールナットのピッチは車種名で検索すると見つけられるので「車種名 ホイールナット サイズ」で検索してみてください。

    また、OEM車は製造元メーカーのサイズに統一されています。製造元メーカーも確認し、間違えないようにしましょう。

    関連記事: ホイールナットの形状・種類・サイズ全てまるわかり!気を付けたい注意点

    3.素材を変えればドレスアップもできる

    ホイールナットにはさまざまな素材が使われています。

    ● スチール
    ● アルミ
    ● クロモリ
    ● 低炭素鋼
    ● チタン

    メーカー純正のナットはスチールが使用されており、安価で耐久性が高い特徴があります。アルミはデザイン性に富んだ商品が多く、ドレスアップで使用されています。ただ、やわらかく耐久性が低いため、日常的に増し締めするのがおすすめです。

    クロモリ・チタンはレーシングカーにも採用されるほど強度があり、信頼性に長けた素材です。ただ、コストがかかるため、気軽に取り入れるのは難しいかもしれません。

    関連記事:ナットキャップ(ナットカバー)とは?役割から着脱方法まで徹底解説

    4.ロックナットで盗難防止

    ホイールは盗難される可能性があるパーツです。高価なものや珍しいホイールは狙われやすく、盗難対策が必要になります。そこで活躍するのがロックナットです。

    ロックナットは1輪のホイールに対して1個、またはすべてのホイールナットを、六角形ではない形状に変更する特殊なナットです。ロックナットは取り外す場合、専用のアダプターが必要となるため盗難防止になります。

    また、盗難だけでなくホイールナットを緩められるイタズラの防止にもなります。ただ、ロックナットにはデメリットがひとつあり、アダプターがないとホイールの取り外しが行えないことです。タイヤ交換でお店を訪れたのに、ロックナットのアダプターを忘れてしまうとホイールが外せません。

    そのため、ロックナットのアダプターは車内の外から見えない場所か、車の鍵と一緒に保管するのがおすすめです。

    一部の高級車はサイズが違う

    一部の高級車はホイールナットの形状だけでなく、太さも異なります。日本車の基本的なナットサイズはM12です。一方で、欧州車ではM14が採用されているため、日本車でも欧州車に合わせてホイールナットがM14の車種があります。

    ● ランドクルーザー
    ● センチュリー
    ● GT-R NISMO
    ● レクサスLC、LS
    など

    上記車種のホイールナットにはM14が採用されています。他にもM14が採用されている車種があるので、高級車を所有している方は、ホイール交換前にナットのサイズを詳細に確認しておくのがおすすめです。

    形状が違うホイールナットを使用するリスク

    形状が違うホイールナットを使用するリスク

    形状が違うホイールナットを使用するリスクは以下の通りです。

    ● 走行中にホイールが外れる
    ● ハブボルトが破損する恐れがある

    「ホイールナットのピッチが適合すれば大丈夫」と思っている方はいませんか?ナットの形状が適合していないとホイールが確実に固定できず、走行中にトラブルが発生する可能性があります。

    走行中にホイールが外れる

    走行中にホイールが外れる

    正しいナットではなく、形状が違うホイールナットを装着していると、走行中にホイールが外れる恐れがあります。ホイールの接地面とナットの接地面が一致しないため、確実に固定できないためです。

    通常、ナットとホイールは面で固定します。しかし、テーパー座対応のホイールに球面座のナットを使用すると、接地面が直線と曲線になるため、点でしか固定できません。ナットとホイールが密着していないと車体の振動でナットが緩み、最終的にホイールが外れてしまいます。

    形状が違うナットを使用すると大きな事故につながる可能性があるため、絶対にやめておきましょう。

    ボルトが破損する恐れがある

    ピッチサイズが合わないナットを取り付けるとボルトが破損します。ただ、ピッチサイズが違うナットを使用していても、途中までは締め付けられるときがあります。気づかずにそのまま締め込むと、ボルト自体のピッチが損傷し、使用不可になるでしょう。

    最悪の場合、走行中にボルトが折れ、事故になる可能性もあります。ナットを締め付ける際、奥まで入ってないのに硬くなった場合は、一度外しサイズを確認しなおしましょう。

    関連記事:タイヤが外れない‥ナットが回らない原因と対策(防錆)とは?

    ホイールナットは締めすぎないように注意

    ホイールナットは締めすぎないように注意

    ホイールナットは力強く締めればいいわけではなく、適正な力で締め付けるのが重要です。ピッチのサイズが適合していても、強く締め付けすぎるとボルトが破損する恐れがあるからです。締め付ける力が弱すぎるとホイールが外れてしまいます。

    ホイールを適正な力で固定するのに必要なのが「トルクレンチ」です。トルクレンチは締め付け力を調整し、決められた以上の力がかかるとカチッと音がなり、空回りするようになっています。

    ホイールナットはトルクレンチを使用し、適正な力で固定しましょう。

    関連記事:タイヤ交換をするならトルクレンチは必須!選ぶポイントと使い方を解説!

    ホイールを交換するならナットはテーパー座に交換

    ホイールを交換するならナットはテーパー座に交換

    ホイールナットはテーパー座がもっとも汎用性が高く、一般的なナットです。そのため、社外ホイールにもテーパー座対応が多い傾向にあります。

    ホンダ車、トヨタ車は一部車種で球面座・平面座のナットを使用しているため、社外ホイール交換時にはホイールナットの交換が必須です。形状が違うナットをそのまま使用していると、走行中の振動でホイールが外れる恐れがあるため、必ず同時に交換しましょう。

    また、ホイールナットを締め付ける際の力は、強すぎても弱すぎてもいけません。適正な力で締め付けるためにもトルクレンチは必須です。

    ホイールを交換するときはナットの形状にも気を配り、安全なカーライフを過ごしてください。

    作成者: 佐々木 健人

    趣味:ドライブ旅行
    モットー:一期一会
    特技:スノーボード
    物腰柔らかな接客で安心して買い物が出来ると定評あり。