最終更新日 2024年10月28日
タイヤの幅を広くすると、車に迫力が出ます。そのため、カスタムする際はタイヤの幅を広くするのが一般的です。では、反対にタイヤの幅を狭くするとどうなるのでしょうか?
タイヤの幅を狭くすると接地面積が減り、滑りやすい路面でのグリップ力が強くなります。タイヤの幅を変更すると見た目だけでなく、走行面にも影響が出るでしょう。
そこで当記事では、幅を変更したときのメリット・デメリットや、違反にならないタイヤの特徴を解説しています。
タイヤだけに限らず、車をカスタムするときは違反にならないよう、注意点や違反になる基準を知っておきましょう。違反にならない範囲を理解しておけば、タイヤの幅を変更してから整備不良で切符を切られてしまうことはないでしょう。
- タイヤの幅を狭くすると滑りにくくなる
- タイヤの幅を変更するメリット
- タイヤの幅を変更するデメリット
- タイヤの幅を変更するのは違法にはならない
- 違法になるタイヤとそのリスク
- 車検に通るタイヤの基準
- タイヤの幅を変更する際の注意点
- タイヤ幅を変更する際は許容範囲内に抑えよう
タイヤの幅を狭くすると滑りにくくなる
タイヤの幅を狭くすると接地面積が減り、滑りにくくなります。そのため、スタッドレスタイヤはインチダウンし、夏タイヤは見た目を考慮して純正サイズかインチアップする方もいます。
また、接地面積が減るとタイヤの転がり抵抗も減るため、燃費の向上にもつながるでしょう。
他にも、幅が狭いタイヤはわだちにハンドルが取られにくくなったり、タイヤの値段が安くなったりするのも特徴です。
タイヤの幅を狭くすると、車の見た目が華奢になるデメリットはありますが、滑りやすい路面やコストの面ではメリットになります。
タイヤの幅を変更するメリット
タイヤの幅を変更するメリットを、インチダウンする場合とインチアップする場合に分けて紹介します。
それぞれのメリットを知り、自分の希望に合うタイヤサイズを見つけましょう。
インチダウンする場合
タイヤ幅を狭くすると、主に以下のようなメリットが得られます。
● 燃費がよくなる
● タイヤの値段が安い
タイヤの幅が狭くなるとゴムの材料費が抑えられるため、タイヤを安く購入できます。そのため、使用期間が短いスタッドレスタイヤは、コストを抑えるためにも幅が狭いタイヤを履くことが多いでしょう。
タイヤにかかる費用や燃費を気にする方は、タイヤの幅を狭くするのがおすすめです。
インチアップする場合
反対にタイヤの幅を広くすると、以下のようなメリットが得られます。
● 走行性能がアップする
● 走行時の安定感がアップする
タイヤの幅を広くすると車を後ろから見たとき、地面に踏ん張っているように見えるため、車に迫力が出ます。そのため、ドレスアップする際はタイヤの幅を広くする傾向にあります。
さらに、タイヤの接地面積が増えるので、直進安定性の向上やカーブ時でもしっかりと地面に食いついてくれるでしょう。
車の見た目や走行性能を重視する方は、タイヤの幅を広くするのがおすすめです。
タイヤの幅を変更するデメリット
タイヤの幅を変更するのはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
メリットよりもデメリットを理解しておくと、タイヤの幅を変更して後悔する可能性は低くなるでしょう。
インチダウンする場合
タイヤの幅を狭くした場合のデメリットは以下の通りです。
● 見た目が悪くなる
● 車によっては風に煽られるようになる
タイヤの幅が狭いと接地面積も狭くなるため、走行時の安定性が悪くなります。
また、背が高いミニバンや軽自動車だと、風に煽られて車体が揺れる場合もあります。とくに、高速道路や大きな橋は風の抵抗を受けやすいため、しっかりハンドルを握り運転に集中しましょう。
タイヤの幅を狭くすると走行性能が下がり、車もほっそりとした見た目になってしまいます。
インチアップする場合
タイヤの幅を広くした場合のデメリットは以下の通りです。
● タイヤの価格が高くなる
● ロードノイズが大きくなる
タイヤの幅を広くすると、タイヤ自体の価格が高くなります。また、接地面積が増えることで転がり抵抗が増えるので、燃費が悪くなったりロードノイズが大きくなったりします。
高級車であれば車体が分厚いため、ロードノイズの大きさはあまり気にならないかもしれません。ただ、軽自動車のように車体が薄い車だと、タイヤの音が車内に伝わるため、うるさく感じることもあります。
インチアップする場合は、迫力ある見た目と引き換えに費用や乗り心地に影響すると理解しておきましょう。
タイヤの幅を変更するのは違法にはならない
タイヤサイズやホイールを変更するのは車のドレスアップとして認知されており、ホイールメーカーもさまざまなサイズを販売しています。
そのため、タイヤの幅を変更すること自体は違反ではありません。実際、街中でもホイールをインチアップしてタイヤのサイズが変わっている車は多く走っています。
ただ、タイヤには保安基準があり、道路運送車両法で安全に走行できる範囲が定められています。保安基準を守らなければ車検に通らなくなるので、次項で紹介する「違反になるタイヤ」を理解しておきましょう。
違法になるタイヤとそのリスク
違反になるタイヤは以下の通りです。
- 車体からはみ出している
- スリップサインが出ている
- スピードメーターに誤差がある
どれも安全に走行できないタイヤばかりなので、違反になるタイヤをそのままにしておくリスクとともに解説していきます。タイヤの幅を変更する際には、以下の項目に注意しましょう。
1.車体からはみ出している
タイヤ・ホイールがフェンダーより外にはみ出している車は、車検に通らず違反となります。
はみ出しタイヤに関しては、道路運送車両の保安基準第178条で規定されています。規定では、ホイールの中心から上側の前30度・後ろ50度の範囲を、フェンダー内に収めなければいけません。
平成29年6月に規定が改正され、10mm未満であればタイヤのはみ出しが認められるようになりましたが、あくまでタイヤのみです。ホイール部分がはみ出してしまうと違反になるため、フェンダーとホイールの出面を合わせるカスタムは違反のままです。
また、車体からはみ出しているタイヤは車体感覚が変わるため、巻き込み事故や接触事故を起こすリスクが高まります。タイヤの幅を変更する際には、車体からタイヤがはみ出さないようにしましょう。
2.スリップサインが出ている
スリップサインが出ているタイヤも車検に通らず、違反となります。スリップサインはタイヤの使用限度を示すもので、サインが出た時点でタイヤとしての機能はありません。
そのため、雨天時はもちろん乾燥した路面でもブレーキが効きにくく、制動距離が伸びてしまう傾向にあります。スリップサインが出ているタイヤで走行すると、走る・止まる・曲がるの安全性が損なわれるため、早急に交換しましょう。
スリップサインについては下記記事で詳しく解説しています。
3.スピードメーターに誤差がある
タイヤの幅だけでなくホイールもインチアップし、タイヤの外径が変わってしまうとスピードメーターに誤差が生じます。スピードメーターはタイヤの回転数を数えて速度を計測しているからです。そのため、車の速度だけでなく、走行距離も正確に計測できなくなってしまいます。
また、車検ではスピードメーターの誤差を検査する項目があり、時速40kmで走行させて実速度と比べます。車検での誤差の基準は以下の通りです。
スピードメーター40kmに対する誤差の範囲 | |
---|---|
平成19年1月1日以降に製造された車 | 時速30.9km〜42.55km |
平成18年12月31日以前に製造された車 | 時速30.9km〜44.4km |
スピードメーターに誤差があるまま走行していると正確な車の速度がわからないため、速度超過や思いがけない事故につながる可能性があります。インチアップする際は、タイヤの外径をできるだけ変えないようにしましょう。
車検に通るタイヤの基準
違反になるタイヤとは反対に、車検に通るタイヤの基準は以下の通りです。
- 外径の誤差はマイナス3%・プラス2%
- ホイールの強度が基準に達しているか
購入後に「車検に通らなかった」という事態を避けるためにも、タイヤの外径を変更するときは車検の基準を知っておきましょう。
1.外径の誤差はマイナス3%・プラス2%
ホイールのインチアップに伴いタイヤの外径を変更した場合、外径の誤差はマイナス3%・プラス2%が許容範囲です。外径に誤差があるとスピードメーターが正確な速度を計測できず、速度超過や事故の恐れがあります。
外径誤差をわかりやすく数値にすると、純正のタイヤ幅プラス20mm・マイナス10mmまでです。純正のタイヤサイズは、運転席ドアを開けた内側に記載されています。
ホイールのインチアップやタイヤの外径を変更するときは、純正サイズを理解し、許容範囲内に収めましょう。
2.ホイールの強度が基準に達しているか
外径やサイズが基準を満たしているだけでは車検には通らず、車検ではホイールの強度も点検されます。国土交通省が品質基準検査を実施しており、合格したホイールには「JWL」の刻印が入れられています。
「JWL」の刻印がないホイールは強度が低く、走行中に破損する恐れがあり、車検にも通りません。ホイールを購入する際は「JWL」の刻印があるか確認しておきましょう。
タイヤの幅を変更する際の注意点
タイヤの幅を変更する際の注意点は以下の通りです。
- ロードインデックスが交換前より下がらないようにする
- 適正空気圧が変わる場合がある
- フェンダーに干渉しないようにする
保安基準以外にも、タイヤの幅を変更する際に気をつけることがあります。何も知らずにタイヤサイズを変更すると走行中にバーストしてしまう恐れがあるため、注意点は理解しておきましょう。
1.ロードインデックスが交換前より下がらないようにする
タイヤにはロードインデックスと呼ばれる指数があり、タイヤのサイドウォールに記載されています。ロードインデックスとは荷重指数のことで、規定の条件下でタイヤが支えられる最大負荷能力を示す数値です。
ロードインデックスはタイヤサイズによって異なり、負荷能力が交換前のタイヤより低いとバーストの危険が伴います。タイヤの幅を変更する際はロードインデックスの数値を確認し、交換前のタイヤを下回らないようにしましょう。
ロードインデックスについては以下の記事で詳しく解説しています。
2.適正空気圧が変わる場合がある
タイヤのサイズを変更するとロードインデックスだけでなく、適正空気圧も変わります。また、空気圧はタイヤのサイズだけでなく車の形状や重量、駆動方式によっても変わるため、車が違うと適正量も変わります。
交換後のタイヤサイズが純正サイズと異なる場合は、ブリヂストンのページで適正空気圧を調べてみましょう。純正のタイヤと、交換を検討しているタイヤのサイズを入力すれば結果が出るので、店員に確認するのが面倒な方は試してみてください。空気圧が適正でないと燃費や走行性能にかかわるので、事前に調べるのがおすすめです。
3.フェンダーに干渉しないようにする
ローダウンしている車のタイヤ幅を変更すると、タイヤハウス内のインナーフェンダーに干渉することがあります。ローダウンとは、タイヤとフェンダーの距離を短くし、車体を低くするカスタムのことです。
タイヤがインナーフェンダーに当たっていると、走行中やハンドルを切ったときに「ガリガリ」というような音がします。そのまま走行を続けているとインナーフェンダーが千切れてしまい、ライトの裏に雨水や泥が入りショートする可能性があります。
タイヤサイズを変更する際は、フェンダーに干渉しないようにホイールのインセットを考慮しましょう。
タイヤ幅を変更する際は許容範囲内に抑えよう
タイヤの幅を変更する際は純正サイズを基準にし、車検に通る許容範囲内に抑えるのがおすすめです。純正サイズからワンサイズ程度の変更に抑えておくと、保安基準不適合になったりフェンダーに干渉したりする可能性は低いでしょう。
「純正タイヤのサイズがわからない」という方は、タイヤワールド館ベストの車種別タイヤ検索が便利です。メーカー・車種・年式・インチを選択するだけでタイヤのサイズを絞り込み、適合するタイヤのみを表示します。そのため、わざわざ純正のタイヤサイズを見に行ったり調べたりする必要がありません。
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