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スタッドレスタイヤの発泡ゴムと吸水ゴムとは?特徴やメリット・デメリットを解説

最終更新日 2023年10月25日

スタッドレスタイヤの発泡ゴムと吸水ゴムとは?特徴やメリット・デメリットを解説

冬の安全運転にかかせないスタッドレスタイヤ。各メーカーから、さまざまな種類のスタッドレスタイヤが発売されています。

しかし、作り方や使用している技術は違います。似ているようでも性能は異なり、感じ方も変わるでしょう。

本記事では、スタッドレスタイヤに使用されている発泡ゴムについて解説します。

特徴やメリット・デメリットはもちろん、吸水ゴムとの違いもお伝えするので、どちらが自分に合っているのかがわかります。

発泡ゴムや吸水ゴムについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

メーカー別!スタッドレスタイヤのゴムの特徴

メーカー別!スタッドレスタイヤのゴムの特徴

凍った路面でタイヤが滑るのは、氷とタイヤの間にできる「水膜」が原因です。氷を手でつかむと、溶けだしてつるんと滑った経験はありませんか?これは、氷が溶けることで手と氷の間に水の膜ができ、摩擦係数が下がったためです。

冬の悪路でも、凍った路面とタイヤの間で同じことが起きています。

スタッドレスタイヤのゴムには、凍った路面でも滑りにくくするために、各メーカーが開発した技術が詰まっているのです。

しかし、目的は同じでも、メーカーによって考え方や得意とする領域は違います。異なる点を理解して、スタッドレスタイヤを選ぶときの基準にしてください。

今回はスタッドレスタイヤの「ゴム」に注目して、以下の5メーカーの特徴について解説していきたいと思います。

メーカー ゴムの名称 ブランド名
ブリヂストン 発泡ゴム ブリザック
ヨコハマタイヤ 吸水ゴム アイスガード
ダンロップ ナノ凹凸ゴム ウィンターマックス
トーヨータイヤ 吸着クルミゴム ガリット等
ミシュラン 表面再生ゴム X-ICE

ブリヂストン 発泡ゴム

ブリヂストン 発泡ゴム

ブリヂストンのスタッドレスタイヤには、独自に開発した「発泡ゴム」を使用しています。

「発泡ゴム」

発泡ゴムは、ゴムの内部にたくさんの「気泡」と「太い水路」を作ることにより、路面とタイヤの間にできた水膜を取り込み、排出します。

タイヤが滑る原因を取り除くことによって、凍った路面でもしっかり密着。グッと踏ん張る力を発揮し、運転にかかせない「止まる」と「曲がる」を安定して行えます。

「発泡ゴム」2

BLIZZAK VRX2 に採用されている「アクティブ発泡ゴム」は、水路状の気泡に水に溶けやすく混ざりやすいコーティングを施し性能を向上しています。

さらに BLIZZAK VRX3 では、水路の断面を楕円形に変更した「フレキシブル発泡ゴム」を採用し、より氷上での性能がアップしました。

発泡ゴムは歴史も長く、多くのユーザーに認知・支持されています。

発泡ゴムの歴史

ヨコハマ 吸水ゴム

ヨコハマ 吸水ゴム

ヨコハマのスタッドレスタイヤには、「吸水ゴム」が使用されています。

吸水ゴムは、その名の通りタイヤと路面の間にできる水膜をできるだけ吸収して除去し、タイヤと路面を密着させて滑りにくくしています。

iceGUARD 6 では「プレミアム吸水ゴム」を採用し、凍結路面に残ってしまう水膜を、「新マイクロ吸水バルーン」と「エボ吸水ホワイトゲル」が吸水。凍った路面とタイヤの間にできる水膜を、ナノ技術を使い限界まで吸い上げます。

また、iceGUARD 7 では新しい素材で作られた「ウルトラ吸水ゴム」を採用。新マイクロ吸水バルーンにプラスされた「吸水スーパーゲル」で吸水力を高め、「ホワイトポリマーⅡ」で路面と密着。さらに「マイクロエッジスティック」が氷や雪をひっかき、より安定した走りを実現します。

吸水ゴムも歴史は長く、発砲ゴムと並んで愛されています。

吸水ゴムの歴史

ダンロップ ナノ凹凸ゴム

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ダンロップのスタッドレスタイヤには、「ナノ凹凸ゴム」が使用されています。

ナノ凹凸ゴムは、タイヤの表面から突き出している凹凸構造の部分がすばやく水膜に届くことで、水膜を除去する時間を短くしています。

水膜を除去する時間が短くなると、その分タイヤと路面の密着を高めることが可能です。さらにナノ凹凸ゴムは柔軟性にも優れたゴムなので、密着する面積を広く保てます。

また、WINTER MAXX 02 で採用していた「液状ファルネセンゴム」を配合することにより、気温が低い状態でもゴムのやわらかさが続きます。

時間がたっても性能を維持しやすいので、長く使用できるのがメリットです。

トーヨータイヤ 吸着クルミゴム

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トーヨータイヤのスタッドレスタイヤには、「吸着クルミゴム」が使用されています。

吸着クルミゴムは、吸水効果の高い「NEO吸水カーボニックセル」でタイヤと路面の間にできる水膜をスムーズに除去します。天然由来成分を使うことで、環境にも優しいゴムを実現しました。

また、トーヨータイヤが20年以上研究してきた独自の技術「鬼クルミ殻」を配合することで、凍った路面をしっかり捉え、ひっかき効果を強化しています。

※使用しているのは天然素材のクルミの殻で、氷より硬くアスファルトよりやわらかいのが特徴。路面を傷つける心配はありません。

さらに「持続性密着ゲル」を配合することにより、ゴムのやわらかさを保ち路面との密着度を高め、鬼クルミ殻のひっかき効果も向上させています。

ミシュラン 表面再生ゴム

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ミシュランのスタッドレスタイヤには、「表面再生ゴム」が使用されています。

表面再生ゴムには「Mチップ」という最新技術が詰まっています。タイヤの摩耗が進むとタイヤ表面に出てきたMチップが溶け、たくさんの穴が出現。この穴が、タイヤと路面の間にできた水膜を除去し、路面との密着度を高めています。

それだけではありません。Mチップを詰めることでタイヤ自体の強さをアップさせているので、やわらかいゴムを使用できるメリットもあります。

タイヤがすり減っても常に表面の穴が再生され、氷上でのブレーキ性能を長く維持しやすいのが特徴です。

発泡ゴムを使用したタイヤのメリット・デメリット

発泡ゴムを使用したタイヤのメリット・デメリット

各メーカーのゴムの特徴を見てきましたが、ここでは特にご質問が多い「発泡ゴム」を使用したタイヤのメリットとデメリットを解説します。

発泡ゴムはブリヂストンが開発した独自の技術です。ゴムの内部に気泡と水路を作ることによって、路面とタイヤの間にできた水膜をすみやかに除去しています。

どのようなメリットとデメリットがあるのかを理解して、スタッドレスタイヤを選ぶときの基準にしてください。

メリット

発泡ゴムを使用したタイヤのメリットは、主に以下の3つが考えられます。

● 凍結路面に強い
● 性能を長期間維持しやすい
● 走行中静か

発泡ゴムは、凍結路面での安定した性能の発揮を期待できます。特殊な形状で吸水し水膜の除去をスムーズに行えるので、滑る原因を排除して凍った路面でもグッと踏ん張れます。

ゴムのやわらかさにも定評があり、硬くなりにくいので長期間使用しても性能を維持しやすいのもメリットです。走行する道や環境にもよりますが、5〜6年ほどもつ場合もあります。

また、走行中の音が静かなこともポイントです。雪道や凍った路面よりも乾いた路面を走行することが多いと、スタッドレスタイヤの走行音が気になるケースもあると思います。

そういった場面でより静かに走行できると、運転にかかるストレスを軽減できるでしょう。

デメリット

発泡ゴムを使用したタイヤのデメリットは価格面です。高性能な分、価格が高い傾向にあります。

● 価格が高い

電気製品や家具でもそうですが、性能が良く多機能だと値段が高くなるのはやむを得ないでしょう。

しかし、いくら高いといっても、店舗や販売経路によって値段は変わります。実店舗で購入するよりもネット販売を利用したほうが安く購入できる可能性が高いので、そうしたものを利用するのも1つの方法です。

吸水ゴムを使用したタイヤのメリット・デメリット

吸水ゴムを使用したタイヤのメリット・デメリット

対で語られることが多い「吸水ゴム」を使用したスタッドレスタイヤのメリットとデメリットも見ていきましょう。

吸水ゴムはヨコハマタイヤが採用しており、タイヤと路面の間にできる水膜を瞬時に吸水しながら氷との密着度を高めています。

目的は発泡ゴムと同じ「滑りにくくすること」ですが、使っている素材や滑りにくくする方法が異なります。

メリットとデメリットを比べてみて、より自分に合ったスタッドレスタイヤを選んでください。

メリット

吸水ゴムを使用したタイヤのメリットは、以下の通りです。

● 価格が安い
● 雨や雪が溶けて濡れた路面でも滑りにくい

値段は販売元によって異なるので、どの店舗でも吸水ゴムのほうが安いとはいえませんが、発泡ゴムを使用したタイヤよりも安く手に入る可能性があるでしょう。

また、タイヤが滑る原因の
「水の膜」を除去する力が高いため、雨や雪が溶けて濡れた路面での走行は得意です。
タイヤの溝の切り方も関係していますが、吸水ゴムの内部に配合されている「シリカ」がゴムをしなやかに保ち、凍った路面だけでなく乾いた路面や濡れた路面でも密着効果を高めています。

デメリット

吸水ゴムのデメリットは以下の通りです。

● 走行音がうるさく感じる場合がある
● 通常のスタッドレス耐用年数内では問題ないが、それを越すと性能が維持しにくい

発泡ゴムに比べると、走行音がうるさく感じる場合があります。乗り比べてみないとわからないくらいだとは思いますが、やはり発泡ゴムのほうが静かに感じる人が多いでしょう。

また、性能を維持しながら走行できる期間も発泡ゴムに比べると劣る印象です。環境や走行状況にもよりますが、3~4年で効果が薄れてくる可能性が高いです。

とはいえ、スタッドレスタイヤの寿命は3〜5年といわれています。かなり性能が下回っているわけではないので、過度に気にする必要はないでしょう。

発泡ゴムと吸水ゴム、どちらがオススメ?

発泡ゴムと吸水ゴム、どちらがオススメ?

雪道・アイスバーンを多く走行する場合では発泡ゴム、走行時には雪が溶けているのでウェット性能を重視する、という場合は吸水ゴムがオススメです。

発泡ゴムは性能の高さを長期間維持しやすく、静かに走行できるのは大きなメリットです。値段は高くなっても、その分長く使用でき、冬の悪路でも安定した走りが期待できます。

車のタイヤは、交換するにも道具や場所、時間が必要です。長い目で見ても、少しでも手間を減らせるのなら費用対効果は大きいといえるでしょう。

吸水ゴムは雨の日・ウェット面に強いというメリットがあります。あまり雪の降らない地域に住んでいたり、通勤や通学に使用したりする人は、吸水ゴムを選ぶのも良いでしょう。

ゴムの種類 おすすめの人
発泡ゴム ウィンタースポーツによく出かける方や降雪量の多い地域に住んでいる人
吸水ゴム 通勤や通学で車を使う方で冬場に突然降る大雪に備えた予防策として考えたい人

スタッドレスタイヤはライフスタイルや使用目的によって選ぶことが大切です。

発泡ゴムを使用したオススメのスタッドレスタイヤ

発泡ゴムを使用したオススメのスタッドレスタイヤ

発砲ゴムを使用したオススメのスタッドレスタイヤを3つ紹介します。

用途や使用する環境に合わせて、あなたにぴったりのスタッドレスタイヤを選んでくださいね!

  1. ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)VRX3
  2. ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)VRX2
  3. ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)DM-V3

1.ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)VRX3

発泡ゴムのおすすめスタッドレスタイヤ1・ブリヂストンBLIZZAK(ブリザック)VRX3

ブリザック VRX3は、ブリザック史上最高の性能をかね備えているスタッドレスタイヤです。

VRX2に比べると、氷上でのブレーキやコーナリングの性能が大幅に向上しています。凍った路面でもより安定した走行が期待できます。

また、耐摩耗性能も向上し、性能を維持しながら長く使用できるのも特徴です。

どれにしようか迷っているのなら、ブリザック VRX3 を選べば間違いないでしょう。

2.ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)VRX2

発泡ゴムのおすすめスタッドレスタイヤ2・ブリヂストンのBLIZZAK(ブリザック)VRX2

ブリザック VRX2も、安定した性能をもつスタッドレスタイヤです。VRX3 よりも性能は劣りますが、信頼性の高いタイヤです。

VRX2のほうが安く手に入るので、価格を抑えたい人にオススメです。

3.ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)DM-V3

発泡ゴムのおすすめスタッドレスタイヤ3・ブリヂストンのBLIZZAK(ブリザック)DM-V3

ブリザック DM-V3は、SUV車専用のスタッドレスタイヤです。

VRX2 に採用されているアクティブ発泡ゴム2を使用し、重く止まりにくいSUV車をしっかり支えます。冬の悪路だけでなく、雨の日の濡れた路面でも高いブレーキ性能をもち、安定した走行が期待できます。

スタッドレスタイヤはタイヤワールド館ベストにおまかせ!

スタッドレスタイヤはタイヤワールド館ベストにおまかせ!

ブリヂストンが独自の技術で開発した「発泡ゴム」は、ゴムの内部に「気泡」と「太い水路」を作り、水膜を除去して路面との密着を高めています。

高い性能が維持されやすく、スタッドレスタイヤの中でもオススメです。

ヨコハマタイヤの「吸水ゴム」は、高い吸水力で水膜を吸い取り、タイヤと路面を密着させます。

スタッドレスタイヤは、各メーカーが技術を詰め込んで滑りにくいタイヤを作っています。ライフスタイルや使用目的によって、最適なタイヤを選んでくださいね。

タイヤワールド館ベストでは、さまざまなメーカーのスタッドレスタイヤを取り揃えております。発泡ゴムや吸水ゴムはもちろん、その他のゴムを使用したタイヤも販売しているので、ぜひチェックしてみてください!

作成者: 鎌田 翼

タイヤワールド館ベスト栗生店 店長

趣味:車を整備する事。
特技:手指の関節をポキポキ鳴らせる事。
モットー:お客様から感謝される接客を心がける事。