最終更新日 2024年1月9日
カーカスとは、タイヤの使用限界を超えたときに見えるワイヤーのことです。カーカスが見えているタイヤはいつバーストしても不思議ではなく、大変危険な状態です。
「タイヤにワイヤーが見えているけど大丈夫だろう」
「まだ使えるし急な出費は避けたい…」
上記のように、カーカスが見えたタイヤをそのまま使い続けているという状況はありませんか?カーカスが見えるタイヤを放置すると、重大な事故を引き起こす可能性があります。そこでこの記事では、カーカスが見えたタイヤを放置するリスクや応急処置を紹介します。
タイヤは車両が地面と接触している唯一の部品です。そのため、タイヤには自分の命を預けているとも言えます。使用限界を超えたタイヤの危険性を理解し、最悪の状況を防ぐための対策を講じましょう。
- カーカスが見えているタイヤは使用しないこと
- タイヤのカーカスが見える状態は危険
- 応急処置は?カーカスが見えたタイヤの対処法
- 【タイヤの場所別】カーカスが露出する原因
- カーカスを露出させないために定期的な点検が大事
- カーカスが見えたタイヤの交換はベストにおまかせ
- タイヤのカーカスが見える前にタイヤを交換しよう
カーカスが見えているタイヤは使用しないこと
カーカスが現れたタイヤは使用しないようにしましょう。カーカスが見えたタイヤは強度が低下しており、非常に危険な状態です。
通常、タイヤは車の速度に比例して負荷が増加します。しかし、カーカスが見えたタイヤは強度が低下しているため、高速道路だけでなく一般道でもバーストの危険があり、命に危険を及ぼす可能性があります。
たとえカーカスが見えていなくても、ピンチカットが発生しているタイヤも同様です。ピンチカットは内部のカーカスが切れ、タイヤにコブが現れている状態のことです。
そのため、カーカスが見えている・ピンチカットが発生しているタイヤは使用を中止し、至急交換しましょう。
関連記事:【小さくても危険】タイヤのピンチカットとは?原因や対処法を紹介
タイヤは4層構造でできている
タイヤはゴムだけでできていると思われがちですが、実は複雑でさまざまな素材が使われています。タイヤの構造を知れば、カーカスが見えたタイヤの危険性が具体的に理解できるでしょう。
タイヤの内部構造
部品名 | 説明 |
---|---|
ビードワイヤー | スチールワイヤー(鋼線)を束ねてゴムで被覆したリング状の補強部材。カーカスコードの引っ張りを受け止めてリムに固定する役目を担っています。 |
カーカス | タイヤの骨格を形成するゴムで被覆したコード層の部分。荷重や衝撃、空気圧などに耐える仕組みを有しています。 |
インナーライナー | チューブレスタイヤの内面に貼り付けられるゴム層の部分。気密保持性を確保する役割を果たします。 |
ベルト | ラジアルタイヤに配されるトレッドとカーカスのあいだのコード層。カーカスを締めつけて、トレッドの剛性を高める役割を果たします。 |
カーカスは4層構造のうち中から2番目の層であり、荷重や衝撃、空気圧を支えるコード層です。カーカスが見えていると、外的要因により劣化していくため、バーストが起きやすくなります。
そのため、カーカスはタイヤにとって重要な役割を果たしているといえるでしょう。
タイヤのカーカスが見える状態は危険
カーカスが見えているタイヤをそのまま使用するリスクは、以下の通りです。
● 車検に通らない
● タイヤの機能を果たせない
カーカスが露出したタイヤを使い続けるメリットはありません。カーカスが見えたら、迷わずに至急交換しましょう。
いつバーストするかわからない
カーカスが見えたタイヤは、いつバーストするかわかりません。カーカスは荷重や衝撃、空気圧を支える重要なコード層なので、露出していると損傷するリスクがあるからです。
カーカスが見えた状態で走行していると小石や雨など、本来カーカスに触れないものが触れるようになります。外的要因によってカーカスが破損すると、タイヤの空気圧を保持できなくなり、バーストします。
カーカスが見えたタイヤはいつ爆発するかわからない爆弾のようなものなので、早急に交換しましょう。
車検に通らない
カーカスが見えているタイヤは車検に通りません。車検のタイヤに関する基準は、以下のように道路運送車両法に記載されています。
亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること。
カーカスはコード層に該当するため、安全なタイヤとは判断されず、車検に通りません。他にも、スリップサインやピンチカットがでているタイヤも同様です。
カーカスが見えたタイヤは、車検時に必ず交換しないといけません。早めにタイヤを交換して、不安なくドライブできるようにしましょう。
関連記事:【危険?】車検に通らないタイヤの特徴5選!車検に通るタイヤの管理方法も解説
タイヤの機能を果たせない
トレッド面にカーカスが見えている場合は、タイヤとしての機能を発揮できません。タイヤの溝がないとグリップ力や排水性が悪くなり、ブレーキが効かなくなる恐れがあります。
また、制動距離が伸びたりハイドロプレーニング現象が起きたりと、車の操作に影響することもあるため、危険な状態だといえます。とくにサイドウォールやショルダー部はカーカスが見えやすく、車体の内側に露出していると発見が遅れてしまいがちです。
タイヤの異常を早く見つけるには、定期的なタイヤローテーションがおすすめです。タイヤローテーションすれば偏摩耗を防止でき、タイヤの異常を早く見つけられるでしょう。
応急処置は?カーカスが見えたタイヤの対処法
カーカスが見えたとき、タイヤ本体に施す応急処置はありません。タイヤはのちに交換しないといけませんが、出先でカーカスが見えているのを発見した場合の対処法を紹介します。
● スペアタイヤに交換する
昨今、スペアタイヤではなくパンク修理キットを積んでいる車が主流になってきました。しかし、カーカスが見えたタイヤや、サイドウォールに損傷が発生したタイヤはパンク修理キットでは対応できません。
カーカスが見えたタイヤの対処法を知り、いざというときに対応できるようにしておきましょう。
自走が不安ならレッカーを呼ぶ
カーカスが見えたタイヤでの自走が不安な場合は、レッカーを呼びましょう。カーカスが見えたタイヤはバーストのリスクがあり、10km走行できるか1kmしか走行できないのか外見では判断できません。
レッカーは任意保険のロードサービスに付帯している場合があります。条件によっては、保険会社が指定する修理工場まで無料でレッカーしてくれることもあるため、一度確認しておくのがおすすめです。
ただ、レッカーは到着に時間を要する場合が多いため、所有する車にスペアタイヤが積んであるなら自分で交換するほうが早いでしょう。
スペアタイヤに交換する
スペアタイヤを積んでいる場合は自分で交換し、タイヤ交換店へ向かうのが安全でもっともスムーズです。タイヤ交換作業に慣れている方なら、1本15分程度で終わらせられます。
ただ、最近の車はスペアタイヤではなくパンク修理キットのみを積んでいる車が多くなっています。パンク修理キットではカーカスが見えたタイヤには対応できないため、所有する車にスペアタイヤが積んであるのか確認しておきましょう。
【タイヤの場所別】カーカスが露出する原因
カーカスが露出する原因はタイヤの場所によって異なります。それぞれの原因は以下の通りです。
● 側面のカーカス露出は空気圧不足が原因
カーカスが見える原因はひとつではないので、それぞれの場所の原因を知り、的確に対処しましょう。
トレッド面のカーカス露出は摩耗が原因
トレッド面にカーカスが見えている場合は、摩耗が原因です。スリップサインが現れていたにもかかわらず使用し続けると、カーカスが露出します。
一方で、トレッド面は均一に摩耗するわけではありません。駆動方式や取付位置によって摩耗しやすい場所があり、トレッド面のセンター部分やショルダー部分が偏って摩耗します。これを偏摩耗といい、偏摩耗が進むと、タイヤの寿命より早くカーカスが見えてしまいます。
カーカスは一部分でも見えると危険が伴うので、タイヤの溝がまだ残っていても交換が必要です。
側面のカーカス露出は空気圧不足が原因
タイヤ側面にカーカスが見える原因は、空気圧不足や側面をぶつけたときの衝撃です。タイヤ側面にはベルトと呼ばれる金属製の板がないため、トレッド面より衝撃に弱い傾向があります。
そのため、空気圧不足によりタイヤ側面が膨らんだり、縁石にぶつけたりするとカーカスが露出することがあります。また、タイヤ内部でカーカスが破損したときに発生するピンチカットにも注意しましょう。
カーカスを露出させないために定期的な点検が大事
トレッド面、側面にカーカスを露出させないためにも、定期的にタイヤの点検をしましょう。カーカスの露出を防止するには、以下の点検・対策がおすすめです。
- タイヤローテーション
- 月に一回の空気圧点検
- 安全運転
- 定期的なタイヤ交換
定期的に点検すればカーカスの露出だけでなくさまざまなトラブルを回避でき、同じタイヤを長く使えるでしょう。
1.タイヤローテーション
タイヤの偏摩耗によるカーカスの露出を防止するには、タイヤローテーションがおすすめです。ローテーションすることでタイヤの偏摩耗を防止しつつ、溝を均一に使えるので寿命を伸ばす効果もあります。
たとえば、FF車は前輪のタイヤが摩耗しやすいため、定期的に後ろと交換すれば4本が均一に摩耗していきます。また、タイヤローテーションは約5,000km〜1万km走行で行うのが理想です。
タイヤローテーションの費用は約2,000円〜5,000円です。工具があれば自分でも作業できるので定期的に行いましょう。
関連記事:タイヤローテーションは長持ちの秘訣!スペアタイヤや4WDについても解説
2.月に一回の空気圧点検
月に一回の空気圧点検で、タイヤ側面のカーカス露出を防止できます。空気圧が不足すると車の荷重により側面が膨らみ、カーカスに負荷がかかってしまいます。そのまま気づかずに放置すると、最悪の場合カーカスが切れ、バーストすることもあるでしょう。
タイヤの空気圧を適正に保っておけばカーカスの露出を防げるだけでなく、燃費の向上にもつながります。空気圧は高すぎても低すぎてもよくないため、月に一回はガソリンスタンドで点検してもらいましょう。一声かければ、無料で点検してもらえます。
関連記事:車の空気圧を確認する方法|適正な値を計測する6つのコツも紹介
3.安全運転
「急」がつく運転は、タイヤの劣化を早める原因です。急カーブや急発進、急ハンドルはタイヤが変形するため、側面に負担がかかります。
たとえば、減速せずに左に曲がると右方向に遠心力が働くため、右タイヤに荷重がかかり、側面が膨らみます。側面が膨らんでいる状態はタイヤに負荷がかかっているため、急カーブを繰り返しているとカーカスが損傷し、バーストする可能性もあるでしょう。
日頃から安全運転を心がければトラブル回避だけでなく、燃費の向上や精神の安定にもつながります。
4.定期的なタイヤ交換
タイヤの寿命にもとづいて定期的に交換すると、カーカスだけでなくさまざまなトラブルを防止できるでしょう。
タイヤの寿命は3年〜5年とされており、メーカーも使用から5年が経過したタイヤはプロによる点検を推奨しています。また、製造から10年経過したタイヤは見た目に問題がなくてもゴムが劣化しているため、交換がおすすめです。
中には「いつタイヤを購入したかわからない」「中古車だからタイヤの交換時期が不明」という方もいるでしょう。タイヤの側面には製造年が記載されているので、一度確認してみてください。
関連記事:【夏タイヤの寿命はどれくらい?長く使い続けるコツを5つ紹介】
カーカスが見えたタイヤの交換はベストにおまかせ
カーカスが見えたタイヤの交換はベストにおまかせください。ベストには全国に約4,000の提携店舗があり、オンラインでタイヤの購入から交換予約まで完結します。購入したタイヤは取付店舗へ直送するため、タイヤの受け取りや一時的な保管は必要ありません。
また、タイヤはオンラインで購入するほうが安い傾向にあります。かといって、ネットで購入したタイヤを持ち込むと工賃が高くなるので、結局「ネットで購入した意味がなかった」となりかねません。
しかし、ベストのタイヤ交換なら「タイヤはネット価格」「工賃は通常通り」なので、実店舗とオンラインのいいとこ取りをしたサービスだといえます。
自宅近くの提携店舗はすぐに検索できるので、気軽に探してみてください。
タイヤのカーカスが見える前にタイヤを交換しよう
カーカスは使用限界を超えたときに現れます。カーカスが見えてからタイヤ交換では遅いので、カーカスが見える前に交換しましょう。交換の目安は、タイヤの寿命といわれている3〜5年を目安にするのがおすすめです。
カーカスが見えたタイヤは、いつバーストしても不思議ではありません。そのため、カーカスの露出を見つけたら、走行は控えて早急にタイヤ交換してください。自走が心配であれば、任意保険に付帯しているロードサービスを利用するといいでしょう。
カーカスは、タイヤの荷重や空気圧を支える重要なコード層です。タイヤのカーカスが見えているのを発見したら、すぐに交換してください。
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