最終更新日 2024年2月16日
「工具は家にそろっているから自分で作業したい」
「少しでも費用を抑えたい」
上記のように考えている方はいませんか?
タイヤローテーションを自分で行うと、工賃が抑えられます。しかし、工具をそろえる費用がかかったりスペアタイヤが必要になったりと、通常のタイヤ交換に比べて手間が増える傾向にあります。
タイヤローテーションを自分で行う際には、覚えておきたい注意点があります。そこで当記事では、タイヤローテーションを自分で行う手順や注意点を紹介しています。
タイヤローテーションを自分で行えば、約2,000円〜5,000円ほどの工賃を節約できるでしょう。
おいしい食事ができるほどの金額なので「自分でもできそう」だと感じたら挑戦してみてください。
- タイヤローテーションを自分で行う手順
- ┗スペアタイヤを使用するローテーション
- ┗スペアタイヤなしでローテーションする方法
- タイヤローテーションを自分で行うにはウマ2つが必須
- タイヤローテーションを自分で行う費用と工賃の比較
- タイヤをローテーションする方向は駆動方式によって異なる
- ┗FFは「後輪→前輪」のみ左右をローテーション
- ┗FR・4WDは「前輪→後輪」のみ左右をローテーション
- タイヤローテーションを自分で行う際の注意点
- ┗回転方向が決まっているタイヤはローテーションできない
- ┗100km走行したら増し締めする
- ┗保管するタイヤには装着位置を明記しておく
- タイヤローテーションは5,000km走行が目安
- タイヤローテーションに関するよくある質問
- ┗タイヤローテーションを自分で行うとどれくらい時間がかかる?
- ┗トルクレンチがない…思い切り締めていい?
- タイヤローテーションを自分で行う際はウマ2つ使おう
タイヤローテーションを自分で行う手順
タイヤローテーションを自分で行うには、スペアタイヤを使う方法と使わない方法があります。
● スペアタイヤなしでローテーションする方法
スペアタイヤなしで作業する場合は、フロアジャッキやウマが必要になります。DIYでさまざまな作業をするなら、この機会に工具をそろえるのもいいでしょう。
スペアタイヤを使用するローテーション
スペアタイヤと車載ジャッキを使用するローテーションの手順は以下の通りです。
上記の手順なら、フロアジャッキやウマを使わずにタイヤローテーションができます。ただ、3〜5回ほどジャッキアップしないといけないので、手間がかかります。タイヤローテーションのためだけに工具をそろえたくない方は、スペアタイヤと車載ジャッキを使用する方法がおすすめです
スペアタイヤなしでローテーションする方法
近年、スペアタイヤが搭載されていない車が増えてきました。そのため、スペアタイヤを持っていない方もいらっしゃるでしょう。
スペアタイヤがない方は、以下の方法を検討してみてください。
● ウマを4つ用意して車体を完全に浮かせる
ウマを4つ用意する方法は、安全かつ手間が少なくなります。1輪ずつサイドのジャッキアップポイントでジャッキアップし、ウマをかけていけば4本同時にローテーションできます。
まれに、フロアジャッキで車体をあげてそのままタイヤを交換する方がいますが、危険が伴うので絶対にやめましょう。
タイヤローテーションを自分で行うにはウマ2つが必須
タイヤローテーションを自分で行うのに必要な道具を紹介します。
● トルクレンチ
● フロアジャッキ(パンタグラフジャッキ)
● ウマ(最低2つ)
● 輪止め
● 仮装着するタイヤ(スペアタイヤ)
注意点として、パンタグラフジャッキは1輪しか持ち上げられません。「パンタグラフジャッキを2つ用意して前後輪を持ち上げれば安くできる」と考える方がいますが、絶対にやめてください。
また、フロアジャッキでも同様です。ジャッキは「車体を持ち上げるもの」、ウマは「車体を支えるもの」なので、ジャッキのみではいつ車体が落下してもおかしくない状況だといえます。
実際に、以下のような事件が起きています。
車の整備中にジャッキが外れて男性が車の下敷きに…通報から約30分後に救出されるも搬送先の病院で死亡
北海道文化放送
ジャッキは、持ち上げた状態で作業する前提で作られていないので、手で押せば揺れるほど不安定です。油圧式のジャッキの場合、油圧が抜けて下がってくる恐れもあります。
タイヤローテーションに限らず、ジャッキを使った作業をする場合は必ずウマに車体を乗せましょう。
タイヤローテーションを自分で行う費用と工賃の比較
タイヤローテーションをお店に依頼したときの費用は、約2,000円〜5,000円です。「お店に依頼するのと自分でするのはどちらがお得なの?」と疑問になりますよね。
そこで、タイヤローテーションを自分で行うのに必要な工具をそろえるといくらかかるのか、表にまとめました。元が取れるなら自分で作業しようと思っている方は参考にしてみてください。
工具 | Amazon価格 |
---|---|
クロスレンチ | 約2,000円〜 |
トルクレンチ | 約5,000円〜 |
フロアジャッキ | 約8,000円〜 |
ウマ(2つ) | 約5,000円〜 |
輪止め | 約2,000円〜 |
上記すべてをそろえると、合計で約2万2千円です。通常、タイヤローテーションは5,000km走行ごとが目安とされています。そのため、タイヤローテーションを5〜10回行えば、工具の元は取れる計算になります。
ただ、作業には手間と時間がかかるため、タイヤローテーションのためだけに工具をそろえるのは効率的ではないかもしれません。「すでに工具がそろっている方」「スタッドレスタイヤの履き替えも自分で行う」方は、自分でタイヤローテーションするメリットを感じられるでしょう。
タイヤをローテーションする方向は駆動方式によって異なる
タイヤローテーションは、車の駆動方式によって入れ替える順番が異なります。
● FFは「後輪→前輪」のみ左右をローテーション
● FR・4WDは「前輪→後輪」のみ左右をローテーション所有する車にとって適切なローテーションを行うことで、最後まできれいにタイヤを使いきれます。
FFは「後輪→前輪」のみ左右をローテーション
FF車の場合、前輪が駆動かつ舵をとる役割をしています。そのため、後輪に比べて前輪が早く摩耗します。FF車のローテーション方法は以下の通りです。
● 後輪のタイヤは左右を入れ替え、後輪へ
自分で行うときは、以下の手順で行いましょう。
上記のやり方なら1本ずつ持ち上げて行うため、パンタグラフジャッキでも比較的安全に作業できます。少しでも手間を減らしたい方は、ウマを4本用意して車体を完全に持ち上げるのがおすすめです。
FR・4WDは「前輪→後輪」のみ左右をローテーション
FR車は後輪が駆動輪、4WDは4輪ともが駆動輪のためFF車とは逆のローテーション方法になります。
● 後輪のタイヤは左右そのまま前輪へ
自分で行うときは以下の手順で行いましょう。
FF車とFR車では、左右を入れ替えるタイヤが異なります。駆動輪のタイヤは左右そのまま前後を入れ替える、駆動しないタイヤは左右入れ替えると覚えておきましょう。4WDはFR車と同様のローテーション方法です。
タイヤローテーションを自分で行う際は所有する車の駆動方式を調べ、タイヤを入れ替える手順を間違えないようにしましょう。
タイヤローテーションを自分で行う際の注意点
タイヤローテーションを自分で行う際の注意点を紹介します。
自分で作業するときは、細かな注意点まで気にしておきましょう。作業中に手を止めて調べると、スムーズに行えません。事前に知っておけば、スピーディーに作業できます。
1.回転方向が決まっているタイヤはローテーションできない
すべてのタイヤがローテーションできるわけではありません。
なぜなら、回転方向が決まっているタイヤや前後のサイズが違うタイヤはローテーションすると、メリットを発揮できなくなるからです。
スポーツカーは前後輪のサイズを変えて、駆動輪のグリップ力を調整しています。スポーツカーは馬力が強く、駆動輪の力を効率よく路面に伝えないと横滑りしてしまいます。
また、回転方向が違うタイヤの左右をローテーションすると、持ち前の性能を発揮できません。タイヤローテーションする前に、前後のタイヤサイズ・サイドウォールに「ROTATION」の表記がないか確認しておきましょう。表記がある場合は、矢印の向きに合わせてタイヤを入れ替えてください。
2.100km走行したら増し締めする
タイヤローテーションに限らず、自分でホイールを取り外したあとは増し締めをしましょう。ホイールナットは走行中の振動で緩む可能性があるからです。
国土交通省が調査したデータによると、ホイールの脱輪事故は約20年間で1,188件発生しており、11月〜3月の冬に集中しています。このことから、冬タイヤ交換後1ヶ月以内に多く発生することがわかります。
そのため、冬タイヤ交換やタイヤローテーションなどの作業をしたあとは、100km走行後にトルクレンチを使い、ナットが緩んでいないか点検しましょう。
3.保管するタイヤには装着位置を明記しておく
タイヤ交換後、取り外したタイヤの装着位置がわかるようにしておくのがおすすめです。前回の装着位置がわかれば夏・冬タイヤともに効率よくローテーションできます。
取り付け位置がわかるようにするためには、ホームセンターに売っている養生テープに装着位置を書いたり、専用のシールを利用したりしましょう。専用のシールは通販サイトで販売されています。
スタッドレスタイヤ・サマータイヤに交換する際に、前後左右の取り付け位置を明記すれば作業回数を減らしてローテーションできます。
タイヤローテーションは5,000km走行が目安
タイヤローテーションを行う目安は以下の通りです。
● タイヤが摩耗してきたとき
● スタッドレスタイヤ↔︎サマータイヤに交換するとき
一般的なのは、5,000km走行ごとにローテーションを行うことです。タイヤは5,000kmで1mm摩耗するといわれているため、多くの店舗で推奨されています。
他にも、季節ごとのタイヤに交換するときや、摩耗に差が出てきたと感じたときにもローテーションするといいでしょう。
「スタッドレスタイヤは使用しない」「タイヤの摩耗状態はよくわからない」方は5,000km走行を目安にしましょう。
タイヤローテーションに関するよくある質問
タイヤローテーションに関するよくある質問は以下の通りです。
● トルクレンチがない…思い切り閉めていい?
タイヤローテーションで疑問点を事前に知り、前もって計画を立てたり準備したりすればスムーズに作業を進められるでしょう。
タイヤローテーションを自分で行うとどれくらい時間がかかる?
ホイールを外したことがない方は、1時間半程度は見積もっておきましょう。はじめは、ジャッキアップやウマをかけたりするのに時間がかかります。
タイヤローテーションの作業内容は、慣れれば30分〜1時間ほどで終わる作業です。最初は作業中に不明点が出てくると思うので、時間がかかってしまいます。
トルクレンチがない…思い切り締めていい?
トルクレンチは必ず用意しておきましょう。トルクレンチがないからといって思い切り締めてしまうと、ボルトがねじきれたり痛んだりする原因になります。
最悪の場合、走行中にボルトがちぎれてホイールが外れる可能性もあります。本締めは、車体を地面におろしてからトルクレンチを使い、適正なトルクで行いましょう。
タイヤローテーションを自分で行う際はウマ2つ使おう
タイヤローテーションを自分で行う際は、必ずウマを使用してください。ジャッキだけでは車を支えられず、車体が落下し死亡事故につながる恐れもあります。
ただ、以下のタイヤはローテーションができません。
● 前後のサイズが違う
工具をそろえる前に装着しているタイヤを確認し、ローテーションができるかどうか確認しておきましょう。回転方向が決まっているタイヤはサイドウォールに「ROTATION」の記載があるため、矢印の向きにしたがって交換します。
タイヤローテーションはタイヤを効率よく摩耗させ、最後まで均一に使うための手段です。日頃からタイヤのチェックをし「摩耗が偏ってきた」「前回のローテーションから5,000km走行」のタイミングで行いましょう。
なお、タイヤワールド館ベストでもタイヤローテーションを実施しています。タイヤ専門のプロが丁寧に作業していますので、ぜひ一度ご相談ください。
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