最終更新日 2024年8月2日
今回はスペシャル企画!
商品を知り尽くしているメーカーの担当者さまにインタビューを行い、こだわりやホイールのプロならではのお話をお届けします。第一弾となる今回は株式会社WORKの小田さんにインタビューをさせていただきました!
- WORKホイールの優れている点・ユーザーが選ぶメリットは?
- デザインのインスピレーションについて
- 今後のアルミホイールニーズへの対応方法
- ブラッシュド加工などカラー面でのこだわりは?
- ディスクの設定はなぜこんなに種類があるの?
- ホイールのプロに聞く!アルミホイールのメンテナンス方法
- 品質管理・欠陥品などを防ぐための対策は?
- アフターサポートや保証制度について
- 愛車にピッタリのホイールを選ぶ際のアドバイスは?
- まとめ
株式会社WORK 仙台営業所
営業部 所長代理 小田剛士さん
WORK歴30年以上のまさしくホイールのプロ。弊社のスタッフがホイールに困った時はすぐ相談させてもらいます。近所の人には「洗車おじさん」と呼ばれるほど洗車が好きとのこと。
本日はよろしくお願いします!さっそくインタビュー開始です!
WORKホイールの優れている点・ユーザーが選ぶメリットは?
ーWORKが競合メーカーよりも優れている点、ユーザーが選ぶメリットは何ですか?
2ピース/3ピースホイールとサイズバリエーションの豊富さに強みがあります。
特に「リム」の技術、製造過程、クオリティは全世界実質トップです。自社品だけでなく、他のメーカーへリムの供給やOEMもしているので、組み立て品の中でのシェアは圧倒的ナンバー1です。
それには理由があって、例えば特許技術である「ワーク・ソリッド・リム」はホイールメーカーの中でWORKにしかできない技術です。
その1つが「ハンプ」です。リムのアウター側に成型される、盛り上がっている部分をハンプと呼び、これがあることでパンクなどで急にタイヤの空気が抜けた場合でも、このハンプが引っかかりとなり、タイヤが外れにくいのです。
※ハンプ:トラブル発生時にタイヤの空気圧が低下した場合でもタイヤビートがリムからずり落ちにくい形状。TUV認証・ETRTO規格合格済み。
ーヨーロッパでのTUV(テュフ)認証・ETRTO規格ではこの「ハンプ」がないと安全性と品質を認証できませんよということになっていますね。
2ピース/3ピースのいわゆる板リムでTUV(テュフ)認証・ETRTO規格に合格済なのはWORKだけなので、ヨーロッパの会社からのリムの需要が高く、結果シェアが圧倒的ナンバー1となっています。
そういうリムを使っているホイールなので、お客さまにとってより安心・安全だと思います。
WORKの2ピース/3ピースのホイールには全てハンプがある。アクシデントの際にタイヤが外れにくいので、安全性が高い。
WORKはサイズバリエーションが豊富なのも魅力です。
2ピースが主流になったのはまだ20数年くらいですが、今までインセットの位置はどのメーカーもだいたい決まっていて、3ピースはアウターリムとインナーリムの組み合わせによって、J数とインセットが決まってしまうので、12mm刻みでしか設定できませんでした。
今主流の2ピースはインセットが1mm刻みで作れます。WORKではこれを注文から最短で3日で出荷できるように、どの位置でも組めるように、工場のプログラムを改修しています。
今では他のメーカーでもやっていますが、さきがけて始めたのはWORKです。「お客さまが欲しいサイズをジャストで作る」という発想やノウハウは伊達じゃありません。
ー受注生産のホイールが短期間で手に入るというのはすごいことですね。
受注生産のホイールが最短3日で出荷というのは、なかなかないのではないでしょうか。土日に注文をもらって、次の土日にはもう取り付けができる、ということはお客様にとってはすごいメリットですよね。
2ピース/3ピースのホイールは必要品ではなく趣向品なので、趣向品だからこそ、様々なお客さまに満足いただくためにはデザインなのかサイズなのか色なのか値段なのか‥とても難しいですね。
WORKは2ピース/3ピースのホイールに圧倒的な強みがある
デザインのインスピレーションについて
ー毎年素敵なアルミホイールが発表されていますが、デザイン案のインスピレーションはどこから着想を得ているのですか?
デザイナーは20代〜50代くらいまで複数名在籍していて、業界内外問わず様々な場面で着想を得ています。
モータースポーツ系が得意な人、ミニバンやセダンを中心にしたドレスアップ系が得意な人、欧州車系が得意な人…年代も得意分野も様々な開発陣なので、多様性をもたせたラインナップになっていると思います。
ー車種を念頭においてデザインしているのでしょうか。
色々なアプローチをしていると思いますが、メインターゲットとなる車は何にしようということは念頭において発想していると思います。
例えば、「グノーシス」は発売されてから10数年になりますが、基本的には「輸入車」をメインターゲットにして、輸入車サイズ、一部国産車サイズを用意しています。
輸入車がターゲットの「グノーシス」
「エモーション」や「マイスター」はモータースポーツですね。
モータースポーツ系ホイール「エモーション」
モータースポーツ系ホイール「マイスター」
その他の車種で言うと、ミニバン・SUV用は、「シュバート」や「ランベック」、軽・コンパクトカー用としては「リザルタード」があります。
ミニバン・SUV用へおすすめの「シュバート」
ミニバン・SUV用へおすすめの「ランベック」
軽・コンパクトカーを想定してデザインされた「リザルタード」は16/17インチ設定がある。
ーWORKさんのホイールで、今までで一番売れたホイールって教えてもらうことはできますか?
私の30年間の体感でいうと、「ユーロラインのDH」は今思えばびっくりするくらい売れましたね。ディッシュのデザインのホイールです。おそらく、歴代の組み立てホイールの中でもトップクラスのセールス本数を叩き出したのではと思いますね。
今で言うところの「バズった」というやつです(笑)
実は、最初はスタートダッシュできなかったんですが、オーナメント(真ん中)のロゴデザインを変えてみたら、火がつきました。
同じ金型を複数用意した組み立てのホイールは、「ユーロラインDH」以降ないと思いますね。
伝説的な大ヒットホイール「ユーロラインDH」
今後のアルミホイールニーズへの対応方法
ー最近は足回りの狭い車が多く登場していますが、WORKは今後どのようにしてアルミホイールのニーズに対応していく予定ですか?
大口径で言うと、例えば、クラウンクロスオーバーは標準で21インチ設定もあり、純正サイズは 7.5Jでタイヤ幅は225/45R21。 21インチで7.5Jは今まで純正設定が無かったと思うんですよね。
インチアップして10Jくらいまで入ったセダンが7.5Jになっていたりする
ワークでも21インチは8.5Jからしか設定がありませんでしたが、純正サイズでドレスアップをしたいユーザー様に向けてワークは21インチの7.5Jを開発、設定しました。
このサイズがあるのはまだWORKだけだと思います。
やはり純正サイズそのまま履けるホイールというのは、お客様にとっても安心感が大きいと思います。
これは営業が現場のニーズを聞いてきて開発に伝えて工場がすぐ作ることができる、製販一体であるWORKの強みだと思いますね。
225/7.5J対応のホイールの3つ「グノーシス AE201」「グノーシス CVS」「グノーシス CVX」
ブラッシュド加工などカラー面でのこだわりは?
ーWORKさんのホイールはとても色がキレイだと思います。ブラッシュド加工などカラー面での魅力を教えてください。
塗料ではなく、アルミ合金(金属)そのものの色をみせる加工に自信があります。
不純物を隠せないのでブラッシュドやバフというのはそういう面でも価値が高い
ブラッシュドやコンポジットバフブラッシュド、バフフィニッシュなどはアルミ合金そのものの色なんですよ。表面を磨いたり、磨き目をあえて残したりして、腐食を抑えるためにクリア塗装をして仕上げています。
ブラッシュド
磨き目を残す加工。WORKが「グノーシス」ブランドで採用したことで一気に市民権を獲得した。最終仕上げは手作業で行う。デザインが細かいホイールの加工はとても大変。フィニッシュにクリア塗装を2回施し、膜厚を厚くすることで腐食耐性を高めている。
コンポジットバフブラッシュド
ディスクの天面はブラッシュドフィニッシュ、側面はバフ研磨加工で高級な雰囲気をまとう。
バフフィニッシュ
とことん磨いて鏡面仕上げ、クロムに近い光り方で独特なアルミの光沢感を演出。
ーブラッシュド加工ならではの苦労などはありますか?
このような地金の色を活かす加工というのは、溶湯(溶けた金属)の管理がしっかりしていないとできません。
溶けたアルミの中には、溶けたときに不純物が含まれていて、表面にボコッと出てしまうことはよくあります。海外の溶湯の管理がしっかりできていないと、こういう加工はできない。
温度とか湿度とか、日によってコンディション変わる溶湯の管理を熟練スタッフがしっかり管理しているからこの加工ができるのです。
塗装ものでは不純物などは隠してしまうので関係ないが、それができないのでブラッシュドやバフというのはそういう面でも価値が高いと思いますね。
海外のメーカーでは塗装ホイールしかできません、という工場などもありますしね。
ちなみに、2ピース/3ピースの場合、地金の色は基本的には同じです。
ディスクの設定はなぜこんなに種類があるの?
ーディスクの設定も様々ありますが、これはなぜでしょうか?
現在は純正の大型ブレーキが多様化してきているので、それに対応するためです。
完成形のホイールは見た目は一緒ですが、インセットが大きく変わります。WORKではR、A、Oを基準としていますが、商品によってはそれ以外のディスク形状もラインナップしてあり、合計9種類があります。
同じ車でもクラウンや、スカイラインなどハイグレードではブレーキが大きいというのがありますね。
一般的に深いリムの方がかっこよく好まれるので、なるべく深いリムにしたい、という方やフロントとリアで別サイズにしたい、というご要望にもお応えできます。
WORKでは合計9種類のディスク形状がラインナップ
ホイールのプロに聞く!アルミホイールのメンテナンス方法
ーホイールのプロにお聞きします。アルミホイールを日頃からどのようにメンテナンスすることがおすすめですか?
定期的に中性洗剤を使って洗うことと、洗浄後のすすぎと拭き上げが重要です。
ホイールの洗浄は中性洗剤がおすすめ
本当にこれに尽きます。
私は週1で洗車をしていて、毎週1時間10分、ボディに40分ホイールに30分かけています。
特に輸入車の方はブレーキダストが出やすいと思います。ブレーキダストは「鉄粉」で、ホイールはアルミなので錆びないですが、「鉄粉」は鉄なので錆びてしまい、それがホイールに悪影響を与えてしまします。
車種にもよりますが、とがった形状の鉄粉がでる場合もあるので、それがホイールに刺さったりしないようにするためにも、はやり洗車は大切だと思います。
ー中性洗剤をおすすめする理由は何ですか?
中性洗剤というのが大きなポイントで、特に2ピース/3ピースのホイールはリム表面がアルマイト処理されているのでアルカリ性洗剤やワックスを使用してしまうと化学反応を起こして変色してしまう場合があります。
1円玉を始めアルミ製品ではだいたいアルマイト処理がされている
カー用品店やホームセンターで洗車用と謳っている商品でも弱酸性や弱アルカリ性の製品が普通に売っています。それらの商品は汚れが落ちやすいといったメリットもあり、しっかりすすぎをすれば問題ないですが、すすぎ残しに自信がない方や余計な心配をしたくないという方は中性洗剤を使用することをおすすめします。
商品の裏を見れば必ず書いてあるので、洗浄剤を買う際は気にしてみてください。
ガソリンスタンドの洗車機で変色してしまった、という例も何度も聞いたことがあります。1ピースホイールの場合はそこまで神経質になる必要はないですが、洗車機はどういう洗浄剤が使われているかわからないので、2ピース/3ピースホイールでは「中性洗剤での手洗い」がやはりおすすめですね。
こういう変色は科学反応で染み込んでしまっているの、除去するにはリムを交換するしかない
また、ホイールに関しては、コーティングも行っています。
品質管理・欠陥品などを防ぐための対策は?
ーワークのアルミホイールは、製造過程においてどのような品質管理が行われているのでしょうか?欠陥品などを防ぐための対策はありますか?
会社全体でISO9001を取得し、各工程で様々なチェックをしています。
ISOを取得した10年前の工場では、まだまだ「技術は見て盗め」とか職人気質なところがありました。マニュアルをしっかり作り、ルールを明確化したことで、不適合率も下がり、効率化とすぐに改善できる環境になっています。
それでも残念ながら欠陥品が流通してしまう場合があります。その際は北海道から九州まで全国に拠点があるので、すぐに我々が窓口になって誠実に対応したいと思います。
アフターサポートや保証制度について
ーワークのアルミホイールを購入した後のアフターサポートや保証制度について、詳細を教えてください。
外観(塗装剥がれ等)に関しては購入後1年間、その他機能的(エア漏れ)な部分は購入後3年間です。
これはJAWA会員はみんなそうだと思います。この保証というのは「製品に問題があった場合」です。傷等は納品してしまった後ではお客様責任ということになってしまうので、家に帰る前にしっかりと確認して頂くことをお願いしたいと思います。
愛車にピッタリのホイールを選ぶ際のアドバイスは?
ーアルミホイールにはさまざまなサイズやデザインがありますが、自分の車に合った適切なホイールを選ぶ際のアドバイスはありますか?
デザインは個人の趣向ですが、サイズは車の状態(車高等)で最適サイズが変わるので、プロに相談するのが良いと思います。
デザインは洋服などと同じで、完全に個人の趣向だと思います。ただ、せっかく高いお金を出して買うので、車につけた時に違和感のあるサイズフィッティングだともったいないと思います。
一般的に言われているように、やはりフェンダーと出面が適度に狭いほうがかっこいいと思います。これはインセットとリム幅で決まるのですが、そういうところのアドバイスは経験や知識でかなり差がでます。
いわゆる「ツライチ」と言われるセッティングがやはりかっこいい
-べストのようなタイヤ・ホイールの専門店は、経験豊富で場数を踏んだプロスタッフが多数在籍しているので、お客様のお役に立てそうです。
サイズに関しては車の状態(車高等)で最適サイズが変わるので、サイズはお客様によって求めるレベルが違います。ギリギリまで攻めたいのか、少しだけ内側にするだけでいいとか、同じ車であってもベストサイズというのは人それぞれだと思います。
とくに20インチ以上の大口径の経験値というのはタイヤ・ホイール専門店が圧倒的だと思うので、信頼の置けるプロに相談するのが良いと思います。
ー車高調を取り付けて一週間してからサイズを測ると教えられたことがあります。
アルヴェルのセッティングでフロントはセミコン系、リアはディープコインケイブでFRっぽいセッティングにして、ナットはレーシングでキャップはダブルマークとか。そういう提案ができるのが足回りのプロショップの強みですね。
車高調は同じ5cm落とすでも、メーカーや技術者によって微妙に不思議と変わりますね。個体差もあるし左右差もありますから。
値段だけでなく、技術的なサービスをきちっとしてくれるかどうかも検討した方がいいですね
ベストでは糸を垂らしてしっかり測ってセッティングする
まとめ
今回お話を聞いて、ホイールの世界は奥が深いなぁと思いました。我々も知らなかったことや目からウロコの話もたくさん伺うことができました。
また、取り付け技術や足回りのセッティングにそこまで個性があるとは知りませんでした。
タイヤ・ホイールをただ販売するのではなく、車高の上げ下げから足回りをトータルで提案できるというベストの強みにも改めて気づかせていただきました。プロショップとして、サイズの提案にもより繊細かつ大胆にお応えしていきたいと思います。
小田さん、貴重なお話をありがとうございました!
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