最終更新日 2024年10月28日
車にベアリングが使われているのは知っているけれど、「どこに使用されているのかわからない…」と思っている人は多いのではないでしょうか。
ベアリングとひと口にいっても種類はさまざまで、使用する場所によって大きさや形は異なります。
本記事では、ベアリングの役割や種類について解説します。どんなものに使われているのかもお伝えするので、ベアリングをより身近に感じられるでしょう。
車のベアリングが故障したときの症状もあわせて解説します。不具合が起きても慌てないように、ぜひ参考にしてみてください。
- ベアリングとは?
- ベアリングはどんなものに使われる?
- 車のベアリングが故障したときの症状
- ┗足回り
- ┗エンジン付近
- ┗車の異常サイン・異音まとめ
- ベアリングの修理・点検を依頼できるお店はどこ?
- ベアリングに異変を感じたら早めの交換を
ベアリングとは?
ベアリングとは、機械の中に組み込まれ、軸の回転を円滑にするための部品です。
ベアリングは軸の回転を受けて支えることから「軸受(じくうけ)」ともよばれており、ベアリングと軸受(じくうけ)は同じものを指します。
回転する機械には、必ずといっていいほどベアリングが使用されています。これは機械の摩擦を少なくして、スムーズに動作するようにするためです。
摩擦とは、物体がある方向に動こうとする力が働いたときに、その動きを妨げる力のことを指します。
機械は摩擦が少ないほうがスムーズに動きます。消費するエネルギーも少なくなるので、できるだけ摩擦を減らすようにするのがベアリングの役割です。
ベアリングには、さまざまな種類があります。中には間違えやすいものもあるので、比較しながら解説します。
・ラジアルベアリングとスラストベアリング
順番に見ていきましょう。
転がり軸受とすべり軸受の違い
ベアリングには、「転がり軸受」と「すべり軸受」という種類があります。
一般的にベアリングといえば転がり軸受を指すことが多く、イメージしやすい人も多いと思います。
転がり軸受は、内輪と外輪の間にボールやころがあるベアリングです。間にあるボールやころは「転動体」とよばれ、軸の回転に合わせて回転します。
転がり軸受はすべり軸受よりも摩擦が少なく、製品寸法が規格されています。複数のメーカーが作った製品でもスペックや性能が同じなので、選択肢が多くなるのがメリットです。
身近なもので例えると、乾電池や電球は大きさの違いはあっても、どのメーカーでも利用できますよね。それと同じことがいえます。
一方、すべり軸受はには転がり軸受のように転動体とよばれるボールやころはなく、軸にたいして直接接触し、材質のすべりによって軸の動きを受ける構造です。
作りがシンプルで小さく、取り付けに場所をとらないのがメリットですが、製品の規格がないので、メーカーによって構造が異なります。
自動車・船舶・機械などのエンジンに多く使用される軸受です。
ラジアルベアリングとスラストベアリングの違い
ラジアルベアリングとスラストベアリングは、転がり軸受をさらに細かく分類したものです。
軸には一定方向ではなく、さまざまな方向からの力がかかります。
車を例にあげると、まっすぐ走る以外にも、曲がったり止まったりと多様な動作を行います。
動きによってかかる力の方向は変化するので、方向別に特化したベアリングが「ラジアルベアリング」と「スラストベアリング」なのです。
ラジアルベアリングは、支えている軸に対して垂直方向(異なる方向)にかかるラジアル荷重を受けるのに特化したベアリングです。
車のタイヤ部分や、建設現場で使用される重機など、重さを支えながら回転する特徴があります。
スラストベアリングは、支えている軸に対して水平方向(同じ方向)にかかるアキシアル荷重を受けるのに特化したベアリングです。
車のトランスミッションや重機の旋回部などに使用されています。
種類 | 方向 | 特徴 |
ラジアル ベアリング |
垂直方向(異なる方向)にかかる荷重 (重さを支えながら回転する) |
車のタイヤ部分や、建設現場で使用される重機など |
スラスト ベアリング |
支えている軸に対して水平方向(同じ方向)にかかる荷重 | 車のトランスミッションや重機の旋回部 |
ベアリングはどんなものに使われる?
ベアリングは私たちの生活に欠かせないもので、多くの機械やものに使われています。
大きなものだと、飛行機、新幹線などの鉄道車両、自動車、建設機械などです。機械にある駆動装置や動力装置に使われ、回転するときの摩擦を軽減しています。
もっと身近なものでいうと、自転車、洗濯機などの家電、スケボー、ヨーヨーなど、子どもが遊ぶおもちゃにも使われています。
ベアリングは軸だけでなく、日々の暮らしを支えてくれる、なくてはならない部品なのです。
車のベアリングが故障したときの症状
車にもたくさんのベアリングが使用されていますが、故障したときに出る症状は場所によって異なります。
車のベアリングで故障しやすいのは、主に以下の2カ所です。
・エンジン付近
どのような症状が出るのかを知っておくと、致命傷になる前に対処できます。車のSOSを見逃さないようにチェックしておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
足回り
車の足回りのベアリングで不具合が出やすいのは、ハブベアリングとよばれる部品です。
ハブベアリングとは、ホイールを車体に取り付ける部分(ハブ)にあるベアリングのことで、摩擦を少なくしてタイヤの回転をなめらかにする役割があります。
タイヤとともに回転しているため、常に負荷がかかる場所です。
ハブベアリングが傷んでくるとガタが出て、走行中に「ゴー!」「ゴロゴロゴロ!」という異音がするようになります。傷みがひどくなるにつれて音も大きく聞こえてくるでしょう。
異音以外にも、ジャッキアップしてタイヤをゆするとハブベアリングのガタを確認できます。
ハンドルを切ったときにも異音がすることもありますが、その場合はドライブシャフトが傷んでいる可能性もあります。
ドライブシャフトとは、簡単に説明するとエンジンの動力をタイヤに伝える軸(シャフト)のことです。ドライブシャフトの一部にも、ベアリングの技術が応用されています。
ドライブシャフトが傷むと、ハンドルを切ったときに「ゴトゴト!」と異音がします。ハブベアリングの異音と異なりますが、運転席からは判断が難しい場合が多いでしょう。
ハブベアリングの異音を放置すると、タイヤが動かなくなったり、ホイールが外れてしまったりする可能性があります。
また、ドライブシャフトの不具合を放置すると、最悪の場合ドライブシャフトが折れて走行できなくなります。
走行中にいつもと違う音が聞こえたら、できるだけ早く修理を依頼しましょう。
エンジン付近
エンジン付近で不具合が出やすいのは、プーリーとよばれる部品です。
プーリーとは、エンジン回転を各部品に伝えるベルトが円滑に回転するように、手助けするベアリングです。
プーリーはクランクやオルタネーター(充電器)などの部品にもついています。中でも一番トラブルを起こしやすいのが、独立してエンジンの外側についているプーリーです。
このプーリーが傷んでくると、エアコンやオルタネーターを駆動しているベルトが「キュルキュル」と異音がするようになります。
単純にベルトが劣化している場合もありますが、プーリーが傷みガタが出ることによって異音がするケースも多いです。
傷みがひどくなってくると、ベルトのキュルキュル音だけでなく「ガラガラ!」と異音がするようになります。
プーリーの異音を放置すると、ベルトが外れてしまう可能性があり、オルタネーターやエアコンを駆動できなくなります。
また、エンジンへ冷却水を循環させているウォーターポンプも駆動できなくなり、オーバーヒートを起こすことも考えられるでしょう。
異音がしたら、ベルトだけでなくプーリーの不具合も疑ってください。
また、エンジンの内部にもたくさんのベアリングが使用されています。エンジン内部の部品が壊れると、オーバーヒートや焼き付き、最悪の場合火災につながる可能性もゼロではありません。
車の異常サイン・異音まとめ
以下、ベアリングが原因での不調サインである異音をまとめました。これらの音が聞こえたらすぐに点検へいきましょう。
また、エンジンから「ガラガラ!」や「カンカン!」と異音が聞こえてからでは手遅れです。そうなる前にエンジンオイルの交換を定期的に行いましょう。
場所 | 部品 | 判別サイン(異音) | 放置した場合 |
足回り | ハブベアリング | 「ゴー」「ゴロゴロゴロ」という異音 | タイヤが動かなくなったり、ホイールが外れてしまったりする |
足回り | ドライブシャフト | ハンドルを切ったときに「ゴトゴト」と異音 | ドライブシャフトが折れて走行できなくなる |
エンジン | プーリー | 「キュルキュル」→悪化すると「ガラガラ」と異音 | オルタネーターやエアコン、ウォーターポンプを駆動できなくなり、オーバーヒートの恐れも |
ベアリングの修理・点検を依頼できるお店はどこ?
ベアリングが故障した場合、修理や点検は知識のあるプロに依頼したほうが良いでしょう。安心して走行するためにも、少しでも異変を感じたら早めに相談することをおすすめします。
ベアリングの修理や点検を依頼できる場所は、以下の3つです。
・整備工場
・一部のカー用品店・タイヤ専門店
場所別におすすめする人もあわせて解説します。
ディーラー
ディーラーでは、ベアリングの点検や修理に対応しています。故障診断から交換まで一貫して作業を行ってくれます。
そのメーカーの車を専門的に扱っているので、車種別に不具合が出やすい場所や故障しやすい場所などの情報も豊富です。
保証の期間内であれば、無料で交換してくれる場合もあります。不具合が起きたら、まずはディーラーに相談してみるのも1つの方法です。
アフターフォローや細やかなサービスもしっかりしており、安心して任せられます。
しかし、修理費用が高くなる可能性があります。ディーラーでは純正部品を取り扱っているので、汎用品よりも部品代が高くなることが多いからです。
また、作業工賃も高い傾向にあります。ディーラーの整備士はそのメーカーの車を多く修理しているので、ほかの場所と比べてたくさんの知識が蓄積されています。
次の点検まで安全に走行できるように、先回りをして修理を提案することもあるでしょう。
金額よりも、細かいところまで目の行き届いたサービスや、安心感を重視する人はディーラーに依頼することをおすすめします。
整備工場
整備工場でも、ベアリングの点検や修理を依頼できます。ディーラーと同じく、故障診断から交換まで作業を行ってくれます。
整備工場のメリットは、ディーラーに比べて費用を安く抑えられる場合が多いことです。整備工場では、一般的に純正部品ではなく汎用性の高い部品を使用するので、部品代が安くすみます。
修理のほうが安くなる場合は、交換ではなく修理で対応してくれるケースもあります。さまざまなニーズに対して柔軟に対応しやすいのが整備工場の特徴です。
しかし、お店によっては技術力や対応に差が出る場合があります。
しっかりと話を聞いてくれる、小さなことでも親身になって相談に乗ってくれるなど、信頼できる業者を見つけることが大切です。
また、部品の取り寄せに時間がかかる可能性もあります。整備工場は1つのメーカーだけでなく、さまざまな車種の修理を行うため、車に合う部品の在庫がない場合も考えられます。
スケジュールには余裕をもって依頼するのがいいでしょう。
気軽に相談できる人間関係を大事にしたい、修理費用を安くすませたい人は、整備工場に依頼することをおすすめします。
一部のカー用品店・タイヤ専門店
ベアリングの修理は、ディーラーや整備工場だけでなく一部のカー用品店やタイヤ専門店でも依頼できる場合があります。
カー用品店やタイヤ専門店は、ディーラーや整備工場に比べると立ち寄りやすい印象がある人も多いのではないでしょうか。
修理のついでに買い物ができる点もメリットです。カスタマイズやドレスアップなどの相談も同時にできるのも、カー用品店やタイヤ専門店ならではの特徴です。
しかし、同じグループの店舗であっても、場所によっては実施している店と修理を受け付けていない店があるので、店舗ごとに確認が必要になります。
ベアリングの修理や点検を実施している店舗は、車検整備を行っている店舗が多い印象です。
入庫する前にベアリングの点検や修理を依頼できるのかを、問い合わせてから依頼するようにしましょう。
タイヤワールド館ベストでも点検できますので、異音を感じたらぜひご相談くださいね。
ベアリングに異変を感じたら早めの交換を
ベアリングとは、摩擦を減らし、機械が円滑に動くように手助けする部品です。大きな機械だけでなく、家電や子どものおもちゃなどにも使われています。
さまざまな機械、ものに組み込まれ、私たちの生活に欠かせないものです。車にも多くのベアリングが使用され、その数は1台で100個〜150個といわれています。
車が安全に走行するために必要なベアリングですが、故障するとさまざまな症状が出ます。
中には放置すると致命傷になったり、事故の原因になったりするので、異変を感じたら早めに修理を依頼しましょう。
タイヤワールド館ベストでも、ハブベアリングの点検を行っております。もし異音が聞こえたり走行中におかしいと思ったりしたら、ぜひご相談くださいね。
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