最終更新日 2022年10月12日
▼スタッドレスタイヤの特徴・構造
スタッドレスタイヤの大きな特徴
【深い溝】
スタッドレスタイヤの表面には普通タイヤよりも深い溝がほられています。
この溝が積雪路で雪を噛んで圧縮し駆動力を増しています。
【サイプ】
スタッドレスタイヤの溝を構成しているブロックにサイプと呼ばれる細かい溝が切られています。
氷上の表面の水膜をサイプ内に取り込む効果があり雪上ではブロックとサイプのエッジで路面を引っ掻きグリップ力を確保しています。
【コンパウンド】
スタッドレスタイヤに使用されているゴムは通常のタイヤと異なり低温でも柔軟さを失わず、常温でも溶けない特殊な作りとなっています。
また、メーカーによって独自の工夫が凝らされており気泡を含ませグリップを向上させたりガラス繊維やクルミの殻などを練りこませ引っ掻き効果を持たせたりと様々なものがあります。
●サイプの工夫例●
ダンロップタイヤ
▲MAXXシャープエッジ
ダンロップ独自のサイピング技術「ミウラ折りサイプ」のサイプ幅を25%細くした「新ミウラ折りサイプ」採用によって、エッジ成分が増した「MAXXシャープエッジ」を新開発。
ブロックの倒れ込みを抑制することで接地面積を拡大、そして増加したエッジがアイスバーンをしっかり引っかくことで氷上のブレーキ性能を一段と向上させています。
トーヨータイヤ
▲新吸着3Dサイプ
サイプ内の内側に空洞を設けブロック全体を均一に接地するように設計。
また、サイプの閉じ込みを抑えることで吸水性を最大限に発揮させ制動時に高いエッジ効果を生み出します。
ブリヂストンタイヤ
▲3Dホールドスクラムサイプ
ブロックの倒れ込みを抑制することで接地力をアップ。
さらにブロック剛性を向上させることで走行安定性を高めています。
▲ピンホールサイプ
トレッドパタンに設けられた穴がエッジ効果や除水効果(スポイト効果)を発揮し高い氷上性能を実現しました。
●ゴムの工夫例●
ダンロップタイヤ
▲ナノフィットゴム
ダンロップ独自の新素材開発技術を駆使して開発されたナノフィットゴム。
高密度シリカと新開発の軟化剤を絶妙に配合することによりゴム全体は剛く、接地面だけを柔らかくすることに成功。
マクロレベルでのブロック剛性を高め、またアイスバーンのナノレベルの凹凸にしっかり吸着し氷上でのブレーキ性能を大きく向上させています。
▲しなやか成分
氷上性能に重要なゴムのしなやかさの低下を抑制し効き長持ち性能が向上。
タイヤが硬くなるのは走行によりタイヤの中から軟化剤であるオイルが抜けていってしまうのが原因ですが抜けにくい新軟化剤のしなやか成分を配合することにより効きが長持ちします。
▲高密度ゴム
従来のスタッドレスタイヤではゴムの中の混ぜ物とゴムの境目に力が集中しゴムが破壊され摩耗が進行しやすくなっていたが混ぜ物のない高密度のゴムを使用することにより、
摩耗の発生を抑制しライフ長持ち性能も向上しました。
トーヨータイヤ
▲NEO吸水カーボニックセル
タイヤの圧力を受けた氷は表面が溶けてミクロの水膜を発生させタイヤを滑らせます。
この水膜を瞬時に吸水・除去する新素材「NEO吸水カーボニックセル」を配合。
素材そのものに親水膜があるので水分をよりスムーズに吸収します。
天然由来の成分で環境にも配慮しています。
▲ナノゲル
路面の凹凸に常に密着するしなやかなゴムもスタッドレスタイヤには不可欠な要素。
ナノゲルは氷点下でもゴムの柔らかさを保ち、路面への密着性をより一層高める働きをします。
▲鬼クルミ殻
氷を直接ひっかくことはグリップ力を得るための効果的な方法。
トーヨータイヤが20年以上培ってきた独自の技術である鬼クルミ殻は氷をしっかりとらえ、優れたアイス性能を発揮します。
ブリヂストンタイヤ
▲発泡ゴム
多数の気泡で柔らかさを確保している発泡ゴムは通常のゴムに比べて硬くなりにくく、すり減っても次々とタイヤ表面に新しい気泡の水路が現れるので優れた効きが長持ちします。
さらに新開発された「アクティブ発泡ゴム」は気泡、太い水路、親水コーティングによって路面の水膜を積極的に除去。
スタッドレスタイヤが氷路面にしっかりと密着しグリップ力を格段に高めます。
▲温度変化コントロール
RCポリマー採用により温度によるゴム性質の変化を抑制。
氷雪上での性能とドライ路面での性能を両立させます。
また、ウェット路面での性能向上に寄与するシリカを配合しました。
これらのスタッドレスタイヤの特徴の効果を発揮するためには保管状態にも気をつけなければならないのです。