運転中に困ってしまう急なカートラブルといえばタイヤのパンクです。
徐々に劣化していくタイプの故障と違って、ある日突然タイヤがしぼんで走れなくなってしまう経験をしたことがある方も多いでしょう。
とくに高速道路上でパンクしてしまうと、事故につながる可能性が高いため非常に危険です。
ランフラットタイヤは、パンクしてもそのまま走行できる機能を備えた便利な製品です。
今回はランフラットタイヤのメリット・デメリット、価格の目安などをまとめています。
機能性の高いタイヤをお探しの方は、ぜひランフラットタイヤの概要をチェックしてみてください。
ランフラットタイヤとは
ランフラットタイヤとは「空気圧がゼロになっても走行可能なタイヤ」です。
タイヤは浮き輪のようなチューブ状になっていて、クギが刺さったりひび割れしたりするとなかの空気が抜けてしまいます。
しぼんだ(空気圧が低い)タイヤで運転を続けると、ハンドル操作が正しくできなくなり事故につながる可能性があります。
一方、ランフラットタイヤは二層構造になっていて、通常のタイヤゴムの内側に「サイド補強ゴム」が入っているのが特徴です。
パンクによって空気が抜けてしまったときでも、補強ゴムが荷重を支える役割を果たしてくれるので、一定期間は内部の空気圧を保てます。
もしパンクしてしまってもガソリンスタンドや修理工場までの道のりを走行できるため、急なトラブルの際に役立つタイヤです。
ブリヂストンHPより
ランフラットタイヤのメリット
ランフラットタイヤを車に装着すると以下のメリットがあります。
・パンクしても走行できる
・環境にやさしい
・車のデザインが向上する
パンクに強いだけではなく、車のデザインに関連する理由もみていきましょう。
パンクしても走行できる
特殊な構造のランフラットタイヤは、パンク後も80Kkmまでの距離が走行可能なため、タイヤのトラブルが心配な方におすすめの製品です。
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の調べによると、2017年度のタイヤトラブルによる出動要請は約39万件となっており、2007年に比べて約136%も増加しています。
さらにロードサービスでよくある出動理由の第2位は「タイヤのパンク」で、とくに高速道路上でのトラブルが多くなっています。
参照:2021年度 JAFロードサービス出動理由
もし高速道路状タイヤの空気が抜けてしまったら、大きな事故につながる可能性があり危険です。ランフラットタイヤなら、パンクを恐れない快適なカーライフを送れるでしょう。
環境にやさしい
ランフラットタイヤのメリットのひとつは、スペアタイヤを使わないことによる「環境への配慮」です。
一般社団法人 日本ゴム工業会がまとめている資料の【地球温暖化対策の取組】低炭素社会実行計画のなかに、ランフラットタイヤによる2つの効果が記載されています。
目標とする内容 |
ランフラットタイヤを使うことで
得られる効果 |
低炭素社への効果 |
・ランフラットタイヤを装備することでスペアタイヤが不要となり、車体が軽くなる
・軽量化できれば走行時の道路への負荷が減り、CO2の削減につながる |
3R
(リデュース・リユース・リサイクル) |
・ランフラットタイヤを採用するとスペアタイヤが不要になる
・廃棄スペアタイヤの数を減らせる |
上記からもわかるように、ランフラットタイヤは環境へ配慮できるアイテムとして普及が進められています。
車のデザインが向上する
ランフラットタイヤを装着している車には、スペアタイヤが不要です。
「車にスペアタイヤを装備しなければならない」という法律はありませんが、車に不具合が起きた際、速やかに対応できるように何らかの準備はしておかなければなりません。
近年の車には「パンク修理キット」が搭載されているケースが多いですが、ランフラットタイヤの場合はこうした工具も不要です。
スペアタイヤや修理キットがないことでトランク内のスペースが広く取れるので、車のデザインの幅が広がるメリットがあります。
ランフラットタイヤのデメリット
ランフラットタイヤの主なデメリットは以下の3点です。
・価格が高い
・設置に技術が必要なので対応していない店もある
・通常のタイヤに比べて乗り心地が悪い
ランフラットタイヤの具体的な価格については、次の章でさらに詳しく解説しています。
価格が高い
多くのメリットがあるランフラットタイヤですが、価格の高さは導入時の大きなネックです。
普通のタイヤとは異なる特殊な構造となっており、商品代金が高めになっているものが多いでしょう。
BMWやメルセデス・ベンツ、レクサスの一部車種ではランフラットタイヤが標準装備となっています。
しかし、タイヤ交換時の料金の高さや扱いにくさなどの理由で、ランフラットタイヤから一般のタイヤへの変更を検討する人もいます。
車を購入する際は、ランフラットタイヤ交換にかかるコストについてもチェックしてみてください。
設置に技術が必要なので対応していない店もある
ランフラットタイヤの取り付け作業には専用の工具が必要なため、対応できない店舗があります。
すぐに交換作業をしたいときや、近くの店舗で済ませたい人にとっては手軽に交換できないことはデメリットです。
また作業対応している場合でも、通常より工賃が上乗せされるケースもあります。
ランフラットタイヤの装着を検討している人は、交換作業ができる店舗をあらかじめチェックしておきましょう。
通常のタイヤに比べて乗り心地が悪い
ランフラットタイヤは通常のタイヤに比べて、乗り心地があまりよくない場合が多いです。
ランフラットタイヤに使用される原料のゴムは、一般的なタイヤに比べて硬いものが多く、弾力性に欠けることが理由です。
そのため地面からの衝撃を吸収しづらく、路面が悪いと座席までガタガタと響くことがあります。
乗り心地を重視する方には、あまり向いていないタイヤであることを把握しておきましょう。
ランフラットタイヤの価格の目安
フラットタイヤの価格の目安は1本あたり3~5万円が相場ランで、一般的なタイヤより高額な商品が多い傾向にあります。
以下でタイヤワールド館ベストで販売しているランフラットタイヤと、サマータイヤの価格を比較してみました。
|
ランフラットタイヤ |
サマータイヤ |
メーカー |
ファルケン |
トーヨータイヤ |
商品名 |
AZENIS FK510 RUNFLAT
アゼニス FK510 ランフラット |
オブザーブ
ガリット GIZ |
インチ |
18インチ |
18インチ |
サイズ |
225/45R18 |
225/45R18 |
価格 |
31,100円/1本 |
20,000円/1本 |
公式ページ |
ファルケンHP |
トーヨータイヤHP |
購入ページ |
商品詳細を見る |
商品詳細を見る |
同じサイズ規格の「225/45R18」で比較した結果、ランフラットタイヤは31,100円、サマータイヤは20,000円となっており、11,000円の差がでています。
こちらは1本あたりの価格なので、4本交換する場合は4万円近い差が生じることになります。
タイヤは定期的にメンテナンスが必要なので、ランフラットタイヤを使い続けるための金銭的負担は大きいです。
さらに、タイヤ交換時には別途で工賃がかかることも頭に入れておきましょう。
※タイヤは同じサイズであってもグレードによって価格が大きく異なるため、比較内容は参考程度にご覧ください。
ランフラットタイヤを使用する際の注意点
ランフラットタイヤを使用する際の3つの注意点を解説します。
・空気圧の管理を怠らない
・パンク修理はできない
・タイヤ空気圧警報装置の装着が必要
ランフラットタイヤの特性や正しい使用方法を把握しておきましょう。
空気圧の管理を怠らない
ランフラットタイヤを装着する際は、タイヤの空気圧管理を怠らないようにしてください。
規定よりも極端に空気圧が低いと、タイヤの内部がパンクしたときと同じ状態になってしまいます。
この状態が続くとタイヤ内部の補強ゴムに負荷がかかり、製品の劣化が進みます。
補強ゴムの性能が落ちてしまうと、実際にパンクしたときに本来の性能を発揮できなくなるので注意が必要です。
いつも適正な空気圧をキープできるように、こまめにタイヤをチェックしておきましょう。
パンク修理はできない
ランフラットタイヤは原則として修理できないため、パンクした場合は交換となります。
ただし、条件によっては部分的な修理が可能なケースもあります。
具体的には以下のような場合であれば修理が可能です。
・パンクした状態で走行していない場合
・軽微なトラブル(釘ささり)である場合
・整備士が修理可能と判断した場合
タイヤの外側から破損具合を正確に確認するのは困難なため、修理できるかどうかの判断は難しいことがあります。
またランフラットタイヤの修理や交換には知識や技術も必要なので、依頼したい店舗が受付可能か事前の確認が必要です。
タイヤ空気圧警報装置の装着が必要
ランフラットタイヤを履いている車には、タイヤ空気圧警報装置(空気圧センサー)を装着することが義務づけられています。
タイヤ空気圧警報装置とは、タイヤの空気圧の異常を察知した場合に、警告灯やチャイムで知らせてくれる機器です。
ランフラットタイヤは、内部の空気が減ってもしばらくは通常どおり走行できる機能を持っているため、パンクに気づかない可能性があります。
空気圧の低下に気づかずに長い距離を走行し続けると、パンクに強いランフラットタイヤであってもいずれ運転に支障をきたします。
タイヤ空気圧警報装置は、タイヤのトラブルを早急に発見するために欠かせないアイテムなので、かならず装備しておきましょう。
ランフラットタイヤに関するよくある質問
ランフラットタイヤに関する、よくある4つの質問をまとめました。
- ランフラットタイヤの見分け方は?
- ランフラットタイヤの寿命はどのくらい?
- ランフラットタイヤはどれくらい走る?
- パンクしたまま走るとどうなる?
ランフラットタイヤは一般のタイヤに比べて流通量が少ないため、詳しい情報を知っている人が少ないのが現状です。
ランフラットタイヤについて不明な点が多数あるときは、タイヤ専門店やカーディーラーに相談してみるのもおすすめです。
ランフラットタイヤの見分け方は?
ランフラットタイヤは通常のタイヤと区別するために、各メーカーがそれぞれ規定のアルファベットやマークをつけています。
主要メーカーのランフラットタイヤについているアルファベットの印を、以下の表にまとめました。
各メーカーのアルファベットの印のほかに「国際規格ISOのランフラットマーク」もあります。
製品によっては、アルファベットではなく国際規格のマークのみを刻印しているものもあります。
いずれの場合もタイヤ側面の比較的わかりやすい場所に記載してあることが多いので、ぜひ実物をチェックしてみてください。
ランフラットタイヤの寿命はどのくらい?
ランフラットタイヤの寿命は、一般的なサマータイヤと同等と考えて問題ありません。
一般的な夏タイヤは走行距離2~4万kmが、平均寿命の目安です。
またタイヤの溝に「スリップサイン」が見えた場合も寿命となり、早急に交換しなくてはなりません。
ランフラットタイヤはどれくらい走る?
ランフラットタイヤは、空気圧がゼロになっても「速度80km/h」で「80kmの距離」を走行できます。
これはランフラットタイヤの基本的な要件となっており、ISO規格によって定められています。
どのタイヤメーカーでも同じ基準が採用されるので、上記2つの数字を覚えておいてください。
ランフラットタイヤならパンクしたあとも80kmもの距離を走れるので、近くのガソリンスタンドやカーショップを探せる余裕が十分にあるでしょう。
パンクしたまま走るとどうなる?
ランフラットタイヤは、パンクしたあとも80kmまでそのまま走行可能ですが、規定距離を超えると危険な状態になります。
具体的にはタイヤのなかのワイヤーがでてきてしまったり、ゴムが破れたりしてハンドル操作が効かなくなります。
最悪のケースでは、バースト(破裂)を起こし、車体を動かせなくなくなることもあるでしょう。
「パンクしても大丈夫なタイヤ」と過信せず、正しい使用方法を守ることが大切です。
タイヤを履き替える際はランフラットタイヤも検討してみよう
SDGsが注目されている現代では、車からのCO2排出量も大きな課題のひとつです。
タイヤの空気圧を適正に保つことで快適な運転が実現し、それによって燃費向上が叶い、CO2削減が期待できます。
ランフラットタイヤには「空気圧をチェックしやすくなる」「スペアタイヤが不要になり廃棄品が減る」などの環境的メリットがあります。
これからタイヤ交換する方は、環境に配慮したランフラットタイヤへの履き替えを検討してみてはいかがでしょうか。
タイヤの選び方や交換の手順などは「タイヤ交換を安くする方法は?自分で交換する方法とタイヤの選び方」の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
ランフラットタイヤの購入はタイヤワールド館ベストがおすすめ
いかがでしたでしょうか。今回はなかなか情報が見つけにくいランフラットタイヤについてまとめてみました。気になる方やもっと知りたい!という方はぜひ店舗・お電話・メールにてお問い合わせください。みなさんのカーライフにお役に立てれば幸いです。
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